2 診断・治療 CQ08 尿管結石の疼痛管理に推奨される治療法は何か?

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2 診断・治療 CQ08 尿管結石の疼痛管理に推奨される治療法は何か?
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推奨/回答

尿管結石の疼痛では,疼痛緩和が迅速に行われるべきである。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第1 選択である。

推奨の強さ

A:十分なエビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように強く推奨する。

尿路結石による疼痛の機序と第1 選択の鎮痛薬
尿路結石による疼痛は,尿路の急激な閉塞により,腎盂内圧が上昇し,壁の緊張が増加,および結石による粘膜損傷,さらに尿管攣縮が生じることが原因とされる。つまり,腎結石や腎盂尿管移行部に結石が存在しても,尿管に下降し閉塞をきたさなければ疼痛が生じないことがある。したがって,疼痛の根本治療は尿路閉塞の解除である。しかしながら,その疼痛は激烈であり,まずは速やかなNSAIDs による症状緩和が第1 に行われる。
腎盂内圧の上昇は局所でのプロスタグランディン(PG)の合成や放出を促進し,腎血流量の増加,ADH 分泌を抑制し,尿量が増加して,さらに腎盂内圧を上昇させる。また,PG は尿管に直接作用し,平滑筋の攣縮を誘導する。疼痛緩和にPG 阻害薬や尿管拡張作用を有する薬剤を使用する理論的根拠となる。
NSAIDs の使用は,すでに腎機能が低下している場合では腎機能に影響する可能性があり,注意を要する。また,アスピリン喘息の患者では重篤な発作を起こす可能性があり,禁忌である。

第2 選択の鎮痛薬
第2 選択の鎮痛薬としてはモルヒネ製剤,ペンタジンなどがあるが,NSAIDs と比較して嘔吐の発現率が高い。海外では第2 選択のひとつとして推奨されているモルヒネ製剤は,我が国の実臨床ではほとんど使用されていない。また,臭化ブチルスコポラミンが鎮痙目的で使用されるが,あくまでも補助薬剤としての使用と認識すべきである。疝痛発作に対する芍薬甘草湯の投与は即効性があり,NSAIDs よりも有意に鎮痛効果に優れていたとの興味深い報告もある。疼痛管理の一環として輸液を行う場合,強制大量輸液で鎮痛薬の使用量の減少や排石率が増すことはない。

排石促進薬
カルシウム拮抗薬(ニカルジピン)やα1 遮断薬は,尿管拡張作用により排石促進薬として海外では用いられている。尿管拡張作用は,疼痛緩和にも有効で,特にα1 遮断薬では,疼痛そのものや鎮痛薬の使用頻度を減らせることが報告されている。

薬剤による疼痛管理が困難な場合
尿管ステント留置や腎瘻造設,あるいはESWL やTUL による砕石治療が行われる。

(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)

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