CQ27 Purple urine bag syndromeは治療すべきか?

CQ/目次項目
CQ27 Purple urine bag syndromeは治療すべきか?
1
推奨/回答

Purple urine bag syndromeとは,膀胱カテーテル留置中の蓄尿袋が紫色に着色される現象を指す。これのみでは治療の対象とはならない。

推奨の強さ

推奨グレードC2:科学的根拠がなく,行わないよう勧められる

Purple urine bag syndrome(紫色蓄尿バッグ症候群)は,Barlowらによって最初に報告された,蓄尿袋が紫色に着色される現象(図)を指す。この現象は,慢性便秘を有し,長期膀胱留置カテーテル管理の離床の困難な高齢者にみられることが多い。


図 Purple urine bag syndrome
(紫色蓄尿バッグ症候群)の蓄尿袋

Deallerらは,その着色物質がインジゴ青(一般的にはこれがインジゴと呼ばれている)やインジゴ赤(インジルビン)であることから,トリプトファン代謝にかかわる生合成経路に注目し,その発生機序を推論している。すなわち,必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは,腸管内において腸内細菌によりインドールに分解される。インドールは腸管から吸収され,無害なインジカンに代謝されて尿中に排泄される。そこに尿路感染が合併していると,尿中の細菌によりインジカンは加水分解を経てインドキシルに変換される。インドキシルは2分子が縮合し,酸化されるとインジゴ青となる。一方,インドキシルは酸化によりイサチンに変換され,その2分子が縮合してインジゴ赤(インジルビン)になる。これらの反応には,いずれも細菌の関与が必須であり,Providencia stuartii,Klebsiella pneumoniae およびEnterobacter agglomerans などが,インドキシルからインジゴやインジルビンに変換する酵素活性を有する。このような経路で産生されたインジゴ青やインジゴ赤は,蓄尿袋や接続チューブ類を構成するプラスチックポリマーに付着しやすいため,purple urine bag syndromeが生じるものと考えられている。
Purple urine bag syndrome自体は治療の対象とはならないが,慢性便秘や排尿管理に対する適切な対応が重要である。

(本文、図表の引用等については、脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドラインの本文をご参照ください。)

もどる もどる
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す