診療ガイドライン利用者向けQ&A
診療ガイドラインを利用する立場の方々から寄せられた疑問について、Q&A形式でまとめています。
ご意見や、新たな疑問などございましたら、minds.help@jcqhc.or.jp 宛にメールをお送りください。
(回答できかねる場合もございますのでご了承ください)
ご意見や、新たな疑問などございましたら、minds.help@jcqhc.or.jp 宛にメールをお送りください。
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Q
診療ガイドラインの定義はありますか?(2019年1月29日掲載)
A
診療ガイドラインの定義はさまざまに変化してきました。
Mindsでは、診療ガイドラインを「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義しています。
(平易な解説はこちらからご覧ください→「よくわかる診療ガイドライン」)
診療ガイドラインは、科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文書です。患者と医療者を支援する目的で作成されており、臨床現場における意思決定の際に、判断材料の一つとして利用することがあります。
診療ガイドラインは、医療者の経験を否定するものではありません。またガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りません。使用にあたっては、上記の点を十分に注意してください。臨床現場においての最終的な判断は、患者と主治医が協働して行わなければならないことをご理解ください。
Mindsでは、診療ガイドラインを「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義しています。
(平易な解説はこちらからご覧ください→「よくわかる診療ガイドライン」)
診療ガイドラインは、科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文書です。患者と医療者を支援する目的で作成されており、臨床現場における意思決定の際に、判断材料の一つとして利用することがあります。
診療ガイドラインは、医療者の経験を否定するものではありません。またガイドラインに示されるのは一般的な診療方法であるため、必ずしも個々の患者の状況に当てはまるとは限りません。使用にあたっては、上記の点を十分に注意してください。臨床現場においての最終的な判断は、患者と主治医が協働して行わなければならないことをご理解ください。
Q
診療ガイドラインで推奨されているとおりにやっています。それで問題ないですよね?(2019年1月29日掲載)
A
診療ガイドラインの推奨を活用することは大切ですが、そのとおりにすればいいとは限りません。診療ガイドラインの推奨は、「設定した患者像に対して最適と考えられる診療行為」です。設定した患者像が、個々の患者の状況に当てはまるとは限りませんので、推奨されている診療行為が一番良いものとは限りません。
医療者は患者が置かれている状況や、希望などを考慮し、その患者にとって最善と考えられる診療行為を提案し、患者と協働で意思決定を行う必要があります。
医療者は患者が置かれている状況や、希望などを考慮し、その患者にとって最善と考えられる診療行為を提案し、患者と協働で意思決定を行う必要があります。
Q
EBMはEvidence-Based Medicine(根拠に基づく医療)なので、エビデンス(文献)に基づいていればいいですよね?(2019年1月29日掲載)
A
EBMとは「最善の根拠(エビデンス)」を基に、それに「臨床家の専門性(熟練、技能など)」、「患者の希望・価値観」、「(個々の)臨床の状況」を考え合わせて、より良い医療を目指そうとするものです。
決して臨床家の専門性を否定して、「根拠」となる研究論文だけを頼りにするものではありません。
「根拠」を基に、患者や家族が医療者と話し合いながら治療方針を決めていきます。
詳細な解説はこちらからご覧ください。
→『「EBM」とは?』
あわせてご覧ください。
→『「高尿酸血症の55歳男性:服薬治療を始めた方が良いか?」』
決して臨床家の専門性を否定して、「根拠」となる研究論文だけを頼りにするものではありません。
「根拠」を基に、患者や家族が医療者と話し合いながら治療方針を決めていきます。
(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授 中山 健夫 先生)
詳細な解説はこちらからご覧ください。
→『「EBM」とは?』
あわせてご覧ください。
→『「高尿酸血症の55歳男性:服薬治療を始めた方が良いか?」』
Q
診療ガイドラインはどのように作られているのですか?(2019年1月29日掲載)
A
診療ガイドライン作成の基本は、クリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、システマティックレビュー(SR)を経て、推奨を作成することです。それぞれポイントを以下に記載します。
CQは、診療上の重要度の高い医療行為(重要臨床課題)から構成要素(PICO*)を抽出し、一つの疑問文で表現したものになります。このPICOに沿って後の作業が行われますので、CQの設定は非常に重要です。
*PICO(P:Patients,Problem,Population、I:Interventions、C:Comparisons,Controls,Comparators、O:Outcomes)
診療ガイドライン作成においては、SRは、CQに対する推奨を作成するために行われます。PICOを用いて文献を網羅的に検索・収集し、評価します。そして、その結果をまとめたSRレポートを推奨決定時の資料とします(かなり省略した説明ですが、実際のSRには膨大な作業が発生します)。
推奨は、SRの結果得られたエビデンスの確実性と、望ましい効果と望ましくない効果のバランスを検討して作成されます。また、患者の価値観や好み、コストなども考慮することが望ましいとされています。
以上を踏まえ、診療ガイドラインを利用する際には、設定されたPICOと、推奨決定時にどのような判断がなされたのかを理解することが大切です。
もう少し詳しく知りたい場合はこちら→「よくわかる診療ガイドライン」
詳細に学びたい場合はこちら→「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」
CQは、診療上の重要度の高い医療行為(重要臨床課題)から構成要素(PICO*)を抽出し、一つの疑問文で表現したものになります。このPICOに沿って後の作業が行われますので、CQの設定は非常に重要です。
*PICO(P:Patients,Problem,Population、I:Interventions、C:Comparisons,Controls,Comparators、O:Outcomes)
診療ガイドライン作成においては、SRは、CQに対する推奨を作成するために行われます。PICOを用いて文献を網羅的に検索・収集し、評価します。そして、その結果をまとめたSRレポートを推奨決定時の資料とします(かなり省略した説明ですが、実際のSRには膨大な作業が発生します)。
推奨は、SRの結果得られたエビデンスの確実性と、望ましい効果と望ましくない効果のバランスを検討して作成されます。また、患者の価値観や好み、コストなども考慮することが望ましいとされています。
以上を踏まえ、診療ガイドラインを利用する際には、設定されたPICOと、推奨決定時にどのような判断がなされたのかを理解することが大切です。
もう少し詳しく知りたい場合はこちら→「よくわかる診療ガイドライン」
詳細に学びたい場合はこちら→「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」
Q
診療ガイドラインはエビデンスが古いので最新の文献を読んでいるほうが役に立つと考えています。間違っていますか?(2019年1月29日掲載)
A
最新の文献を読むことが重要であることは言うまでもありません。しかし、それまでの研究とは異なる結果を報告する新しい研究も、また次の研究によって否定される可能性があります。
診療ガイドラインは、作成開始時点の利用可能なエビデンスを網羅的に収集・統合して作成されます。このため、時間経過とともに最新性が失われていきます。 診療ガイドラインで提示している内容を踏まえつつ、新しい研究を加味して検討することで、それまでの研究の蓄積を統合して臨床に向かうことが重要です。
診療ガイドラインは、作成開始時点の利用可能なエビデンスを網羅的に収集・統合して作成されます。このため、時間経過とともに最新性が失われていきます。 診療ガイドラインで提示している内容を踏まえつつ、新しい研究を加味して検討することで、それまでの研究の蓄積を統合して臨床に向かうことが重要です。
Q
自分の専門領域については診療ガイドラインを見ていません。問題はあるでしょうか?(2019年1月29日掲載)
A
専門家は、専門領域に関しては十分な知識や技能を有していると考えられます。
しかし、その一方で、診療ガイドラインはその疾患の専門家以外にも様々な立場の方が作成に携わっており、専門家個人が考える診療とは違う推奨が示される可能性があります。
診療ガイドラインを参照することによって、多様な視点を臨床に取り入れることができます。
また、診療ガイドラインの作成にあたっては、通常、複数名で文献のシステマティックレビューを実施します。 診療ガイドラインが、個人では見落としていた文献の存在を知るきっかけにもなります。
また、診療ガイドラインの作成にあたっては、通常、複数名で文献のシステマティックレビューを実施します。 診療ガイドラインが、個人では見落としていた文献の存在を知るきっかけにもなります。
Q
診療ガイドラインが裁判において取り上げられていると聞きます。日常診療にあたり、どのような点に気を付ければいいですか?(2019年2月5日掲載)
A
診療ガイドラインと医療訴訟については、当サイトに特別寄稿として、桑原博道氏・淺野陽介氏(仁邦法律事務所)「ガイドラインと医療訴訟について―弁護士による211の裁判例の法的解析―」が掲載されています。
その中で筆者らは、自らの診療を行う際に診療ガイドラインを用いて検証し、患者説明を含めた診療に活かすと良いと述べています。
詳細については本文をご覧ください。
その中で筆者らは、自らの診療を行う際に診療ガイドラインを用いて検証し、患者説明を含めた診療に活かすと良いと述べています。
詳細については本文をご覧ください。