川崎病 Minds版やさしい解説
5. どんな治療法があるの?
川崎病の治療の最大の目的は、血管の炎症をできるだけ早い段階で抑え、冠動脈瘤ができるのを予防することです。
通常1〜2週間入院して、点滴と服薬による治療が行われます。
冠動脈瘤ができてしまった場合は、血栓をできにくくしたり、溶かしたりする治療などがひきつづき行われます。
◆炎症を抑える治療
免疫グロブリン*7とアスピリン*8といった、炎症を抑える薬を同時に投与する治療が一般的です。
とくに、できるだけ早期に大量の免疫グロブリン投与を行うことによって、8割の患者さんは症状が治まります。症状が抑えられれば、おおむね後遺症が残ることはありません。
◆追加の治療
ここまでの治療で熱が下がらなかった場合、冠動脈瘤ができる危険が高くなるため、追加の治療をしてできるだけ早く炎症を抑えなければなりません。
追加の治療として行われるのは主に以下の6つの薬剤と手技です。
川崎病と診断されたときの血液検査などから、免疫グロブリン治療の効きやすさがおおよそわかるようになってきました。
免疫グロブリン治療が効きにくい、病気が重い患者さんには、免疫グロブリンとアスピリンに加えて、ステロイドをはじめから投与すると、早く症状が良くなって冠動脈瘤もできにくくなります。
しかし、どのような治療が一番良いかはまだわかっていないことがたくさんあります。
主治医の先生と治療内容についてよく相談して、納得のいく治療を選びましょう。
◆血栓を抑え、血液のめぐりを良くする治療
川崎病になってから数週間は血液がかたまりやすくなっているので、血栓の予防としてアスピリンを内服します。アスピリンをのむと血がかたまりにくくなりますので、頭を強くぶつけないように注意が必要です。
通常1〜2ヶ月内服し、冠動脈瘤の後遺症がなければ中止します。
大きな冠動脈瘤が残ってしまった場合には、血栓を強く抑えるワルファリンという薬を内服します。ワルファリンの効果は個人差があるため、薬の効きを血液検査で確認しながらのむ量を調節します。また、納豆を食べるとワルファリンの効き目が悪くなるため、治療中は食べられません。
血栓が出現したり血流が十分でなかったりする場合、血栓を溶かす治療や、冠動脈の滞りをなくす手術による治療が行われます。
経過によって後遺症の病状は変化していきますので、医師の指示に従って治療を続けていきましょう。
川崎病急性期カード
通常1〜2週間入院して、点滴と服薬による治療が行われます。
冠動脈瘤ができてしまった場合は、血栓をできにくくしたり、溶かしたりする治療などがひきつづき行われます。
◆炎症を抑える治療
免疫グロブリン*7とアスピリン*8といった、炎症を抑える薬を同時に投与する治療が一般的です。
とくに、できるだけ早期に大量の免疫グロブリン投与を行うことによって、8割の患者さんは症状が治まります。症状が抑えられれば、おおむね後遺症が残ることはありません。
・免疫グロブリン*7 | … | 全身の炎症を鎮める目的で、発症早期に使用し、冠動脈瘤ができるのを抑えるはたらきがあります。ヒト血清から作製した血液製剤*9ですが、ほとんど副作用がないといわれています。 まれに点滴している最中にアレルギーのため、発疹が出たり、血圧が下がって具合が悪くなる人がいます。 また使用した場合、免疫がつきにくくなるため、予防接種を6か月ほど控えます。 |
・アスピリン*8 | … | 多い量では血管の炎症を抑えます。 |
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■ *7免疫グロブリンとは ■ | ||
生体内に侵入した細菌を殺し,毒素を中和するために,免疫系が産生する抗体のことで,血液中の血漿(けっしょう)という中にあります.英語ではimmunoglobulinといい,略してIgと記載します.微生物や毒素などの異物が生体内に侵入すると,免疫系が活性化され,抗体を産生する細胞から,その異物に特異的に結合する抗体が産生されます.免疫グロブリンにはIgA, IgD, IgE, IgG, IgMの5種類があります. | ||
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■ *8アスピリンとは ■ | ||
別名をアセチルサリチル酸といい,痛みや炎症の原因物質ができるのを抑えることによって,痛みや炎症をやわらげたり熱を下げる効果のある薬です. 少ない投与量では血管内で血液がかたまるのを防ぎます. 胃潰瘍ができやすくなる,出血しやすくなるなどの副作用がわかっています. |
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■ *9血液製剤(けつえきせいざい)とは ■ | ||
人の血液からつくられた薬剤をいいます.感染が広がるのを防ぐために,感染性の病気を持っている人からは血液を採取しないよう定められています.また,献血後の血液は精密な検査を行って合格した血液のみを使用し,化学的な処理などによってウイルスが入らないように管理されています. | ||
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◆追加の治療
ここまでの治療で熱が下がらなかった場合、冠動脈瘤ができる危険が高くなるため、追加の治療をしてできるだけ早く炎症を抑えなければなりません。
追加の治療として行われるのは主に以下の6つの薬剤と手技です。

川崎病と診断されたときの血液検査などから、免疫グロブリン治療の効きやすさがおおよそわかるようになってきました。
免疫グロブリン治療が効きにくい、病気が重い患者さんには、免疫グロブリンとアスピリンに加えて、ステロイドをはじめから投与すると、早く症状が良くなって冠動脈瘤もできにくくなります。
しかし、どのような治療が一番良いかはまだわかっていないことがたくさんあります。
主治医の先生と治療内容についてよく相談して、納得のいく治療を選びましょう。
◆血栓を抑え、血液のめぐりを良くする治療
川崎病になってから数週間は血液がかたまりやすくなっているので、血栓の予防としてアスピリンを内服します。アスピリンをのむと血がかたまりにくくなりますので、頭を強くぶつけないように注意が必要です。
通常1〜2ヶ月内服し、冠動脈瘤の後遺症がなければ中止します。
大きな冠動脈瘤が残ってしまった場合には、血栓を強く抑えるワルファリンという薬を内服します。ワルファリンの効果は個人差があるため、薬の効きを血液検査で確認しながらのむ量を調節します。また、納豆を食べるとワルファリンの効き目が悪くなるため、治療中は食べられません。
血栓が出現したり血流が十分でなかったりする場合、血栓を溶かす治療や、冠動脈の滞りをなくす手術による治療が行われます。
経過によって後遺症の病状は変化していきますので、医師の指示に従って治療を続けていきましょう。
川崎病急性期カード
川崎病急性期カードとは、川崎病にかかったときにどのような治療をしたか、そして心臓に合併症が起きたかを記録するためのものです。
主治医の先生にお願いして、情報を記入いただき、母子手帳などに貼付し記録として保管しておきましょう。
主治医の先生にお願いして、情報を記入いただき、母子手帳などに貼付し記録として保管しておきましょう。

写真:日本川崎病学会ホームページより許可を得て転載