妊娠出産 Minds版ガイドライン解説


ガイドライン作成委員より皆様へ
赤ちゃんが生まれたときに鼻や口の中を吸引する事は、どんな場合でも規則通りに行う処置ではありません。赤ちゃんの状態が正常であれば、お産に立ち会っている医療者が赤ちゃんの口や鼻の分泌物をしっかり拭けば十分であり、吸引は勧められていません。しかし、羊水が濁っていたときは、それを肺に吸って呼吸が悪くならないように、吸引が行われます。
 


医学用語解説
羊水
(ようすい)
赤ちゃんが母親のおなかの中にいるときに、赤ちゃんを包む羊膜の中を満たしている液体のことです。羊水の成分は、妊娠初期は赤ちゃんを包む羊膜からしみ出た液体ですが、赤ちゃんの腎臓が働き始める妊娠中期以降は、赤ちゃんの尿で占められるようになります。羊水の量は妊娠32週ごろに最大の800ml程度になり、その後は減少していきます。羊水は赤ちゃんを外界からの衝撃から守ったり、羊膜にくっつくのを防いだり、おなかの赤ちゃんが肺をふくらませる練習をしたり、出産のときに子宮の出口を押し広げ、赤ちゃんが産道を通りやすくする役割があります。
清明
(せいめい)
ここでは羊水がすんでいて濁りがないことです。赤ちゃんが羊水中のうんちを吸い込み、肺が詰まると呼吸障害を起こす危険性があります。
蘇生
(そせい)
心臓や呼吸が止まった仮死状態で生まれてきた赤ちゃんの心臓や肺の動きを回復させる処置のことです。一般に、心肺蘇生法と呼ばれる応急処置がとられます。応急処置には、あごを上げて呼吸の通路を確保する気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ、呼吸路を持続的に確保するための管の挿入、必要な薬剤の投与などがあります。
正常新生児
(せいじょうしんせいじ)
発育が正常で、問題なく生まれてきて、呼吸や血流や体温などの状態が安定している赤ちゃんのことです。正常新生児は、感染症にかかるなど生命に危険が及ぶ可能性は低いため、特別な医療的措置は必要ないと考えられます。
ルーチン 処置や検査を一律に行うこと、決まった手順のことです。一般的に出産時には、薬やブドウ糖の点滴、分娩監視装置を用いた赤ちゃんの観察、尿道に管を入れて膀胱に溜まっている尿の排泄などの医療的処置がルーチンに行われます。
口腔内吸引
(こうくうないきゅういん)
赤ちゃんの口の中に入り込んだ羊水や異物を吸引して取り除くことです。
鼻咽頭吸引
(びいんとうきゅういん)
赤ちゃんの鼻の中や、のどの奥に入り込んだ羊水などを吸引して取り除くことです。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  RQ13
 
 
 
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