妊娠出産 Minds版ガイドライン解説

  • 推奨の強さ C :分娩時にルーチンに点滴を行うこと[出血に備えて予防的に血管確保すること]が周産期の母子の結果に効果的か否かを立証する文献はなく、リスクのある産婦に限定することが望ましい。
    点滴は、マンパワーが十分ある場合は、分娩進行中に頻繁に異常出血やその他の母児の異常の可能性を適切に判断して、与薬補液をする必要があると認められる場合に行われることが望ましい。

ガイドライン作成委員より皆様へ
もともとリスクのある産婦では必ず点滴を行いますが、正常にお産が進行している時に緊急事態に備えて点滴をすることは必須の処置ではありません。しかし、異常な出血や母児の異常があった時にはすぐに薬液を注入することが必要です。最近の産科医や助産師のマンパワーが不十分な状況では、安全なお産を考えて、多くの分娩施設であらかじめ点滴をする傾向になっています。しかし産婦が動きやすいように、キャスター付きの点滴台を使って自由に歩けるか、分娩第1期の後半か分娩第2期に点滴を入れるのが望ましいと考えられます。
 


医学用語解説
ルーチン 処置や検査を一律に行うこと、決まった手順のことです。一般的に出産時には、薬やブドウ糖の点滴、分娩監視装置を用いた赤ちゃんの観察、尿道に管を入れて膀胱に溜まっている尿の排泄などの医療的処置がルーチンに行われます。
血管確保
(けっかんかくほ)
緊急事態に備えて、事前に点滴の針を血管に刺しておき、必要になったときにすぐに点滴が行えるようにしておくことです。必要な薬剤を投与したり、大量に出血したりした場合は、確保した血管のルートを使用して輸血をすることもあります。
周産期
(しゅうさんき)
赤ちゃんが生まれる前後の期間のことです。その期間は、妊娠22週以降から、出産後7日間と定義されています。
リスク ある病気にかかりやすい危険性の高さのことです。ここでは妊娠、出産のときに、母子の健康に悪影響を及ぼす危険性のことになります。妊婦が高年齢であったり肥満、心臓病や高血圧、糖尿病などの持病があったりする場合は、リスクが高まります。
マンパワー 一般に人間の労働力のことです。ここでは、出産のときに補助する助産師や産科医、看護師などの医療スタッフの数を指します。
異常出血
(いじょうしゅっけつ)
赤ちゃんを産んでいる最中や産んだ後に、子宮や腟から大量に出血することです。胎盤に異常があったり、産道が裂けたりすると、異常出血が見られます。
与薬
(よやく)
治療や予防のために、薬を投与することです。
補液
(ほえき)
血液の量や成分の調整、栄養補給などを目的に、体内に注入する液体のこと、あるいはその液体を体内に注入することです。補液には水分、電解質、糖質、脂肪、アミノ酸などが含まれており、静脈から点滴で注入します。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  RQ10
 
 
 
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