妊娠出産 Minds版ガイドライン解説


ガイドライン作成委員より皆様へ
妊娠の経過が順調な場合には、生活している地域の身近な診療所など[助産院も含む]でお産すると顔見知りの医師や助産師とのコミュニケーションが良く、細やかな医療や対応等に満足と感じる女性がより多いようです。ただ、持病があったり、妊娠やお産の途中で何らかの異常が見つかった場合には、周産期の専門的な病院で安全に出産することが勧められます。
 


医学用語解説
プライマリー施設
(プライマリーしせつ)
診療所やクリニックなど、患者さんの居住地や勤務先のすぐ近くにあり、病気になったときに最初に受診する医療機関のことです。出産の場合はこれらの施設に助産所が加わりますが、助産所では異常な妊娠出産に対する医療行為を行うことはできません。これらのプライマリー施設に対し、専門的な治療が必要な患者さん、命に関わるような重篤な患者さんを専門的に診療するのが、地域の基幹病院や大学病院などの高次医療機関です。
妊娠期
(にんしんき)
受精後に着床してから、母親のおなかの中で赤ちゃんが発育していく期間のことです。最終月経の初日を0日とすると、40週0日が出産予定日になります。赤ちゃんは妊娠してから37〜41週の間に産まれるのが一般的です。
ローリスク 妊娠や出産のときに母子の健康に悪影響を及ぼす危険性のことをリスクといい、そのリスクが低いことをローリスクと呼びます。ローリスクの妊婦であれば、助産所や産婦人科クリニックなどのプライマリー施設で出産しても問題は少ないと考えられます。
高次医療機関
(こうじいりょうきかん)
各疾患の専門医や医療スタッフ、最新の医療機器などが揃っており、手術や緊急時の対応、専門的な治療が行える医療機関のことです。地域の基幹病院や大学病院などが高次医療機関に当たります。妊婦に持病があったり、赤ちゃんの発育などに問題が見つかったりした場合には、高次医療機関で出産することが望ましいと考えられます。
周産期医療
(しゅうさんきいりょう)
妊娠22週以降、赤ちゃんが生まれてから7日までを周産期と呼び、その期間に行われる医療を周産期医療と呼びます。周産期医療では、薬やブドウ糖の点滴、分娩監視装置を用いたおなかの赤ちゃんの心臓の音や陣痛の観察、腟の出口をはさみで切って広げる会陰切開、緊急時の帝王切開や赤ちゃんの呼吸を人工的に助ける処置などがあります。
リスク ある病気にかかりやすい危険性の高さのことです。ここでは妊娠、出産のときに、母子の健康に悪影響を及ぼす危険性のことになります。妊婦が高年齢であったり肥満、心臓病や高血圧、糖尿病などの持病があったりする場合は、リスクが高まります。
リスクスコア 妊婦の年齢、体重、持病の有無、出産経験やそのときの状況などから、出産時にトラブルが生じる危険性をスコアで示したものです。より安全な出産ができるように厚生労働科学研究により作成されました。危険性の程度は、リスクスコアに応じて低リスク、中リスク、ハイリスクの3段階で評価されます。ハイリスクの妊婦は、専門的な設備の整った高次医療機関で出産することが勧められます。
継続ケア
(けいぞくケア)
妊娠から出産、産後の診察、その後の育児支援など、健康に生活するための助言を、同じ産科医や助産師が担当して、継続的にサポートすることです。継続ケアを行うことで妊婦と産科医や助産師とのコミュニケーションが取りやすくなり、信頼関係が高まるため、妊婦の安心感や満足度も高くなります。産科医と助産師がチームを組んで継続ケアを行うこともあります。
産痛緩和
(さんつうかんわ)
赤ちゃんを産むときに下腹部や腰などが痛むことを産痛といい、その痛みを和らげることを産痛緩和といいます。産痛の強さは個人差が大きく、また、神経質な人や不安や緊張感の強い人は強い痛みを感じる傾向があります。
分娩介助
(ぶんべんかいじょ)
安全に出産するために、お母さんが赤ちゃんを産むのを産科医や助産師が手助けを行うことです。例えば出産までの経過の観察、出産時の呼吸法やいきみの助言、赤ちゃんが生まれてくる腟の出口を広げる会陰切開、生まれたての赤ちゃんの処置、赤ちゃんが生まれた後に出てくる胎盤の処理、出産直後の母子の状態観察などです。
自由姿勢
(じゆうしせい)
赤ちゃんを産むときに、自分が最も楽だと思える自由な姿勢のことです。自由姿勢は産婦によってさまざまで、大きな枕を抱えてうつぶせになる姿勢、横向きの姿勢、ベッドの柵などにつかまったしゃがんだ姿勢などがあります。
早期授乳
(そうきじゅにゅう)
生まれて直ぐに赤ちゃんにおっぱいを吸わせることです。赤ちゃんを産んでから最初に出る初乳には、赤ちゃんを病気から守る免疫の成分が含まれています。その後、母乳の分泌が高まるとも考えられています。そのため、生まれてすぐにおっぱいをあげることは、赤ちゃんが健康に成長していくために大切なことです。
母乳育児
(ぼにゅういくじ)
母親のおっぱいで赤ちゃんを育てることです。母乳には赤ちゃんがすくすく育つための栄養素がバランス良く含まれており、消化や吸収が良く、胃腸にも負担が少ないという特徴があります。また、赤ちゃんはおっぱいを吸うときに顎や舌を使うので、顎が発達し、脳にも刺激を与えて、発育を促進します。さらに、赤ちゃんがおっぱいを吸うと、その刺激によって、妊娠により大きくなった子宮が元に戻るのを促して母親の出産後の回復を助けたり、お母さんの赤ちゃんへの愛情を深めたりします。
母児同室
(ぼじどうしつ)
出産した後すぐに母親と赤ちゃんが一緒の部屋で過ごすことです。病院によっては赤ちゃん専用の部屋があり、別々に過ごすこともあります。母児同室のメリットは、いつでもおっぱいをあげられ、母親が赤ちゃんの様子をずっと観察できることです。しかし出産後で疲れているときには精神的にも肉体的にもつらくなることもあります。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  RQ1
 
 
 
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