妊娠出産 Minds版ガイドライン解説



 
ガイドラインで推奨されている診断や治療を行うことが、どのくらい勧められるかを段階的に表したものです。推奨を作成する基となった文献情報の質や、専門家の意見を統合して決められます。本ガイドラインでは、以下の表に基づいて根拠の強さと推奨グレードを分類しています。

表1 根拠の強さと推奨グレード
根拠の強さ
研究デザインと質 非常に質が高く、そのまま利用可能な研究 利用可能だが、すこし注意が必要な研究 質やその他の理由で利用不能な研究
ランダム化比較試験あるいはランダム化比較試験システマティック・レビュー 1++ 1+ 1−
非ランダム化比較試験あるいは分析的疫学研究 2++ 2+ 2−
事例研究、症例報告あるいは学会などからの専門家の意見 3++ 3+ 3−


推奨グレード[根拠になる情報の確かさ強さを示すものであり、重要度を示すものではない]
根拠の強さ  
  A
  B
  C
根拠の強さが「−」の場合は推奨策定の上では参考にしない  
森臨太郎・私案[一部改変]



医学用語解説
ランダム化比較試験
(ランダムかひかくしけん)
無作為化比較試験ともいいます。治療法や検査法などを比較する臨床試験では、対象となる患者さんを、その治療や検査を受ける群と受けない群などの二つ以上のグループに振り分けますが、その際にコンピューターの乱数表やくじ引きなどの方法を用いて、作為性が入り込まないようにする試験のことです。患者さんを振り分ける際に偏りが生じないため、治療法や検査法の有効性を客観的に調べることができるので、結果の信頼性は高いとされています。
システマティック・レビュー 医学雑誌や学会発表などから臨床試験の報告を集め、その内容を評価し、要約してまとめたものです。最近では客観的な立場から、試験方法や解析方法などが一定の基準を満たした医学論文を集め、内容を厳しく吟味(ぎんみ)して、その結果を報告したものを指すのが一般的です。系統的レビューともいい、一般にエビデンスとしての信頼性は高いとされています。
非ランダム化比較試験
(ひランダムかひかくしけん)
試験の対象となる患者さんを二つ以上のグループに振り分ける際に、無作為化の手法を用いずに振り分け、比較を行う試験のことです。グループ間で患者さんに偏りが生じる可能性があるため、結果の信頼性はランダム化比較試験よりもやや劣るとされています。
分析的疫学研究
(ぶんせきてきえきがくけんきゅう)
疫学研究とは多くの人を対象に、病気の発症率や有病率、病気の原因などを調べることを目的に行われる研究の総称です。ここでは特に病気の原因となる要因を分析する目的で行われる疫学研究を指しています。
症例報告
(しょうれいほうこく)
ある病気の患者さんについて、一例から数例の治療経過や結果をまとめて報告したもので、記述研究の一つです。まれな病気、あまり見られない症状や経過などを示した症例、通常は行わない特別な治療が有効だった症例などが報告の対象となります。

関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  III.本ガイドライン開発の方法
 
 
 
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