急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

初期治療を開始すると同時に重症度評価を行う。可及的に術前検査を進め、可能な限り一期的に根治術を行うように努める。
術前の胆嚢ドレナージは、ドレナージ瘻孔部の再発や癌性腹膜炎などのリスクがあるのでできる限り行わない。

ガイドライン作成委員より患者さんへ
急性胆嚢炎に胆嚢がんが合併している場合があります。この場合でも、通常と同じように、まず点滴、栄養などの全身の治療と抗菌治療を開始し、急性胆嚢炎の重症の度合いを評価します。胆嚢がんに対してもなるべく早く検査を進め、胆嚢炎と胆嚢がんを一度に治療できるように努力します。通常、一時的に行われる場合がある胆嚢ドレナージは、胆嚢がんをまき散らす危険性があるので、できる限り行いません。
 


医学用語解説
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
初期治療
(しょきちりょう)
病気が診断されたとき、最初に行う治療のことです。手術や胆汁を排出する治療を行うことを前提に、食事を摂らない、注射による栄養や水分の補給を行う、痛み止めや細菌を殺す薬を投与するといった治療が最初に行われます。
重症度評価
(じゅうしょうどひょうか)
症状や検査の結果を基準に当てはめて、患者さんの病気の重さを決めることをいいます。その基準となるものが重症度判定基準というもので、患者さんの状態や症状、血液検査などの結果から判断が下されます。
根治術
(こんちじゅつ)
原因になっているものを根本的に取り除くことで、病気を治癒させることを目的とした治療のことです。がんの場合は、がんができている場所を手術によって摘出する治療法が、これに当たります。
胆嚢ドレナージ
(たんのうドレナージ)
ドレナージというチューブを胆嚢内に挿入し、溜まった胆汁を体外へ排出する方法です。現在行われている主なものには、経皮経肝胆嚢ドレナージ、経皮経肝胆嚢吸引穿刺法(けいひけいかんたんのうきゅういんせんしほう)というものがあります。経皮経肝胆嚢ドレナージは、超音波で胆嚢内の状態を見ながら皮膚の上から針を入れ、胆嚢へチューブを到達させる方法です。経皮経肝胆嚢吸引穿刺法も同様に針を刺し、注射器のようなもので胆嚢内の胆汁を吸い出す方法です。
ドレナージ瘻孔部
(ドレナージろうこうぶ)
ドレナージというチューブを挿入したときにできた穴のことです。急性胆嚢炎の患者さんに胆嚢がんが見つかった場合、胆嚢内に胆汁を排出するためのチューブを挿入すると、そのときにできた穴にがんが再発する可能性があるとされています。
癌性腹膜炎
(がんせいふくまくえん)
胃や十二指腸などの消化器を覆う腹膜という膜にがんができることです。急性胆嚢炎の患者さんに胆嚢がんが見つかった場合、胆嚢内に胆汁を排泄するためのチューブを挿入すると、癌細胞がおなかの中に散らばることがあります。おなかに水が溜まったり、吐き気や発熱したりするなどの症状が出ます。


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(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q120 急性胆管炎を伴う原疾患としての肝内結石症の診断は?
 
 
 
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