急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説
①想定される起炎菌に対する抗菌力、②抗菌薬の胆道移行性、③胆嚢炎の重症度、④その患者に対する過去の抗菌薬投与歴、⑤その施設での過去の起炎菌検出状況、などを考慮する。[推奨度A] 細菌培養検査によって起炎菌が同定された場合には、その菌種・感受性に応じてよりスペクトルの狭い抗菌薬への変更を検討する。[推奨度B] |
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ガイドライン作成委員より患者さんへ | |||||
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医学用語解説 | ||
![]() | 抗菌薬 (こうきんやく) | 細菌を殺したり、増殖したりするのを防ぐ効果がある薬のことです。急性胆管炎・急性胆嚢炎では胆汁が細菌感染を起こすため、細菌感染を治療する目的で、抗菌薬が使われます。吐き気があって薬が飲めないときは、注射や点滴で投与することもあります。 |
![]() | 起炎菌 (きえんきん) | 感染を引き起こしている原因となった細菌のことです。急性胆管炎・急性胆嚢炎は、胆汁が細菌感染をするため炎症を起こす病気です。その原因となる細菌に対しては、抗菌薬による治療が行われます。 |
![]() | 抗菌力 (こうきんりょく) | 細菌を殺したり、増殖したりするのを抑える効果のことです。急性胆管炎・急性胆嚢炎の治療として、細菌の感染予防や、細菌を殺すために使います。感染した細菌の種類は患者さんごとに異なるため、感染した可能性が高い細菌に効果のある薬を選んで治療を行います。 |
![]() | 胆道移行性 (たんどういこうせい) | 細菌を死滅させる薬が肝臓から胆汁の流れに乗って胆道を通り、代謝されることです。抗菌薬は、肝臓で代謝される薬と、腎臓で代謝される薬があります。肝臓で代謝される場合は胆汁の流れに乗って肛門から便として、腎臓で代謝される場合は尿として、それぞれ体の外へ排出されます。 |
![]() | 胆嚢炎 (たんのうえん) | 胆嚢管に胆石が詰まるなどして胆汁の流れが滞り、胆汁に細菌が増えて炎症を引き起こす病気のことです。胆嚢内が膨らみ、ひどくなると胆汁が漏れ出したり、血液の循環が悪くなったりして細胞が死んでしまうことがあります。強い痛みが起こったり、白目が黄色くなるなどの症状が現れます。 |
![]() | 重症度 (じゅうしょうど) | 症状や検査の結果から病気の重さを判定し、段階別に分けたものをいいます。急性胆嚢炎は、患者さんの状態や症状、血液検査、画像診断の結果から、軽症、中等症、重症の三段階に分けられています。 |
![]() | 抗菌薬投与歴 (こうきんやくとうよれき) | 過去にどんな種類の抗菌薬を投与したのか、どの抗菌薬に効果があったのかなど、その履歴のことです。抗菌薬は、細菌を殺したり、増殖を抑える効果がある薬で、多くの種類があります。その効果は、細菌の種類や患者さんによって違うこともあります。また、過去長期間使った抗菌薬に対して、耐性ができている場合もあります。急性胆管炎・急性胆嚢炎では、細菌感染の治療に抗菌薬を使用しますが、感染した細菌の種類が判明するまでは、過去の使用歴を基に薬の種類を決めます。 |
![]() | 細菌培養検査 (さいきんばいようけんさ) | 血液や胆汁を採取し、専用の器具と装置で細菌を増殖させて調べることです。細菌の種類や、どの抗菌薬に効果があるかを確認し、治療に役立てるために行います。 |
![]() | 同定 (どうてい) | 見極めて確定することです。ここでは血液や胆汁を調べて、感染した細菌の種類を特定することを指します。細菌を殺す治療を行う際に、多くの種類の細菌に効果がある薬を漫然と投与し続けるのではなく、特定された細菌に対して、より高い殺菌効果が得られる薬を選択します。 |
![]() | 感受性 (かんじゅせい) | その患者さんに、その抗菌薬が細菌を殺す力があるかどうか、効果の出やすさをいいます。患者さんから採取した細菌に効果が高いのはどの抗菌薬かを調べ、効果が最も高い薬で治療を行います。 |
![]() | スペクトル | その抗菌薬が何種類の細菌を殺すことができるか、その対応範囲のことです。急性胆管炎・急性胆嚢炎では胆汁に感染した細菌を殺す治療が行われますが、感染した細菌の種類が分からないときは、できるだけ多くの細菌に対応できる薬を選びます。しかし、限られた細菌にのみ効果がある薬の方が、よりターゲットを絞った治療ができるため、細菌の種類が判明した後は、対象となる細菌に対してより高い効果が得られる薬へと切り替えます。 |
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(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン Q95 抗菌薬選択に際して考慮すべきことは?