急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

1. 基本的には早期の胆嚢摘出術が望ましい。[推奨度B
2. 初期治療で反応せず、何らかの理由で手術が行えない場合の経皮的ドレナージ術。[推奨度B
3. 胆汁性腹膜炎胆嚢周囲膿瘍に対する緊急胆嚢摘出術。[推奨度A
4. 胆嚢捻転症気腫性胆嚢炎の場合の緊急胆嚢摘出術。[推奨度B

ガイドライン作成委員より患者さんへ
1. 急性胆嚢炎の基本的な治療は、胆嚢を取り除く手術治療です。
2. 点滴、栄養、抗菌薬治療によって急性胆嚢炎が良くならない場合は手術が必要ですが、手術に耐えられない場合は、一時的に、胆嚢の膿(うみ)を外に流し出すドレナージという治療をする場合があります。
3. 腹膜炎や膿の溜まり、胆嚢のねじれ、特殊な細菌感染などが認められる場合は、緊急で胆嚢を取り除く手術治療を行います。
 


医学用語解説
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
胆嚢摘出術
(たんのうてきしゅつじゅつ)
胆嚢を取り除く手術のことです。急性胆嚢炎では、輸液や薬の投与など、最初に行われた治療で症状が改善しない場合、胆嚢を取り除く手術を行うことが基本になります。現在はおなかを開いて行う手術ではなく、おなかに数カ所の穴を開けて、腹腔鏡でおなかの状態を見ながら行う腹腔鏡下摘出手術が一般的です。
初期治療
(しょきちりょう)
病気が診断されたとき、最初に行う治療のことです。手術や胆汁を排出する治療を行うことを前提に、食事を摂らない、注射による栄養や水分の補給を行う、痛み止めや細菌を殺す薬を投与するといった治療が最初に行われます。
経皮的ドレナージ術
(けいひてきドレナージじゅつ)
胆嚢内に溜まった胆汁を排出させる方法の中でも、ドレナージという細いチューブを胆嚢内に挿入して溜まった胆汁を排出させる方法のことです。皮膚の上から針を刺し、肝臓を通して胆嚢にチューブを留め置きます。
胆汁性腹膜炎
(たんじゅうせいふくまくえん)
胆嚢壁が炎症や胆石による損傷で破れ、胆汁が胆嚢の外に漏れ出すことで、胃や腸などの消化器を取り囲んでいる腹膜に炎症が起こる病気のことです。胆汁に細菌が増えることによって起こる炎症は、生命に危険が及ぶほど重症化するので注意が必要です。
胆嚢周囲膿瘍
(たんのうしゅういのうよう)
胆嚢の壁の内側に膿(うみ)が溜まった袋状のものができることです。細菌感染によって膿が溜まり、壁の表面がただれたようになります。
緊急胆嚢摘出術
(きんきゅうたんのうてきしゅつじゅつ)
急性胆嚢炎と診断されてすぐの早い段階で、胆嚢を取り除く手術を行うことです。最近では、おなかを開けて行う手術ではなく、腹腔鏡という手術器具を使って行うことが一般的です。腹腔鏡はおなかに数カ所穴を開けて器具を入れ、おなかの中を内視鏡で見ながら手術を行う方法で、体への負担が少ないことが大きなメリットです。
胆嚢捻転症
(たんのうねんてんしょう)
胆嚢全体が回転して、胆嚢の入り口がねじれてしまい、血液の流れが悪くなって、胆嚢の壁の細胞が死んでしまう病気のことです。急性胆嚢炎と診断されたとき、急激に症状が悪化する場合に発症していることがあり、緊急手術が必要になります。
気腫性胆嚢炎
(きしゅせいたんのうえん)
胆嚢炎の中でも、胆嚢壁の中にガスが溜まったもののことです。これは胆嚢に、ガスを発生させる細菌が感染した際に起こります。ガスを発生させる細菌の代表としては、ウェルシュ菌などが挙げられます。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q87 急性胆嚢炎における緊急あるいは早朝の手術やドレナージの適応基準は?
 
 
 
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