急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

妊娠中には盲腸など右側結腸が右上腹部へ移動するため、虫垂炎憩室炎との鑑別が必要である。

ガイドライン作成委員より患者さんへ
急性胆嚢炎は右側の上腹部に痛みの症状が出ます。一方、急性虫垂炎や憩室炎は通常、右の下腹部に痛みの症状が出ます。しかし、妊娠中は大きくなった子宮が腸全体を上に押し上げるので、虫垂も右上に押し上げられることになります。妊娠中に右の上腹部の痛みが出た場合は、急性胆嚢炎以外に、急性虫垂炎や憩室炎も考えなければなりません。
 


医学用語解説
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
盲腸
(もうちょう)
おなかの右下にある小腸と大腸の境目付近から下側を指します。境界部分には大腸の内容物が逆流しないように、回盲弁という弁がついています。
右側結腸
(うそくけっちょう)
大腸の右側にある上行結腸、盲腸の総称です。妊娠中は子宮が大きくなり、上行結腸や盲腸が普段の位置よりも右上に移動してしまうため、急性胆嚢炎による痛みと、盲腸などの病気による痛みとの区別がつかなくなることがあります。
虫垂炎
(ちゅうすいえん)
大腸の中でもおなかの右下の先端に当たる部分に炎症が起こる病気です。小腸と大腸が合流する部分を盲腸といい、さらにその右下に小さな突起が出ていますが、ここを虫垂といいます。炎症が起こるのは細菌やウイルスへの感染が原因といわれており、不規則な生活や風邪の後に起こることが多くあります。みぞおちやおなかの右下に現れる強い痛みが、急性胆嚢炎に似ています。
憩室炎
(けいしつえん)
大腸の内壁の一部が袋状に飛び出し、炎症が起こる病気です。ここでは、結腸に起こる憩室炎のことを指しています。炎症によって激しい痛みが引き起こされ、悪化すると出血することもあります。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q82 妊娠中に急性胆嚢炎が疑われる場合,鑑別すべき疾患は?
 
 
 
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