急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

血清アミラーゼ値の上昇は、総胆管結石など膵障害惹起する、他合併病態の把握に有用である。[推奨度A

ガイドライン作成委員より患者さんへ
急性胆嚢炎は胆嚢の病気ですが、急性膵炎が同時に発生している場合があります。これを判定するために、血清リパーゼや血清アミラーゼを測定する血液検査が有効とされています。
 


医学用語解説
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
血清アミラーゼ値
(けっせいアミラーゼち)
デンプンを分解する消化酵素の一つが、血液中にどのくらい含まれているかの値です。膵臓から分泌され、十二指腸に運ばれたり、唾液腺から口の中に分泌され、一部が血液中に運ばれたりします。基準値は60IU/l以下です。急性膵炎になると血清アミラーゼ値が上昇します。
総胆管結石
(そうたんかんけっせき)
胆汁の通り道である胆道のうち、胆嚢管の下から十二指腸までの間に発生する石のような塊のことをいいます。胆嚢内に発生した胆石が胆汁の流れに押されて胆嚢管より下まで落ちてくることが多いです。石のように固まった成分の多くは、コレステロールや胆汁の色素成分であるビリルビンです。
膵障害
(すいしょうがい)
膵臓の病気が原因で、その機能に異常があることです。その可能性を調べるために、血液中にアミラーゼという消化酵素の値を調べます。膵臓からの分泌量が多く、血液中に増加しているときは、急性膵炎や慢性膵炎にかかっている危険性が高まります。
惹起
(じゃっき)
病気を引き起こすことです。急性胆嚢炎の患者さんの血液中のアミラーゼ値が上昇していた場合は、膵臓の異常が考えられます。その場合、総胆管結石など、膵臓の機能に異常を来す別の病気が発症している可能性があります。
合併病態
(がっぺいびょうたい)
ある病気が原因となって引き起こされる、別の病気の状態のことを指します。急性胆嚢炎は、胆石が胆嚢に詰まり、胆汁の流れが滞ることで起こることが多くあります。そのため、同じ理由で総胆管結石や急性胆管炎が引き起こされることがあります。総胆管結石の多くは、胆嚢の入り口に詰まっていた胆石の一部が総胆管に落ちることで起こります。


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(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q70 急性胆嚢炎の診療におけるアミラーゼの血中値測定の意義は?
 
 
 
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