急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

胆道閉塞が存在すると抗菌薬胆道移行性がいちじるしく阻害される。したがって、ことに重症急性胆管炎の場合には抗菌薬投与を開始するとともに、原則としてすみやかに胆道ドレナージを行うべきである。[推奨度A]

ガイドライン作成委員より患者さんへ
胆管に詰まりがあって、胆汁の流れがせき止められると、抗菌薬が胆管や胆汁に集まりにくくなります。この状態では、薬が効きにくいので、特に重症の場合は、薬を使いながら胆汁の流れを再開させる排膿術[胆道ドレナージ]が行われます。
 


医学用語解説
胆道閉塞
(たんどうへいそく)
胆道という胆汁が流れる管がふさがっていることです。胆管炎や胆嚢炎は、胆汁の細菌感染による炎症が原因であり、細菌を死滅させる薬を使った治療が行われます。しかし胆道が胆石などでふさがった状態では、薬が胆道へ届きにくくなるため、薬を投与すると同時に、胆管にチューブを通して胆汁を排出させる胆道ドレナージという治療が行われます。
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
抗菌薬
(こうきんやく)
細菌を殺したり、増殖したりするのを防ぐ効果がある薬のことです。急性胆管炎・急性胆嚢炎では胆汁が細菌感染を起こすため、細菌感染を治療する目的で、抗菌薬が使われます。吐き気があって薬が飲めないときは、注射や点滴で投与することもあります。
胆道移行性
(たんどういこうせい)
細菌を死滅させる薬が肝臓から胆汁の流れに乗って胆道を通り、代謝されることです。抗菌薬は、肝臓で代謝される薬と、腎臓で代謝される薬があります。肝臓で代謝される場合は胆汁の流れに乗って肛門から便として、腎臓で代謝される場合は尿として、それぞれ体の外へ排出されます。
胆道ドレナージ
(たんどうドレナージ)
ドレナージというチューブを通し、胆道内に滞った胆汁を排出させることです。内視鏡的ドレナージ、経皮経肝的ドレナージ、開腹ドレナージの三つがあります。内視鏡的ドレナージは口から胃、十二指腸、胆管へとチューブを通し、経皮経肝的ドレナージは皮膚の上から肝臓、胆管へとチューブを通す方法です。特殊な場合には、おなかを開いて胆管にチューブを通す開腹ドレナージが行われます。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q56 胆道閉塞の存在する急性胆管炎に対する抗菌薬投与は?
 
 
 
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