急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

悪性疾患術後晩期胆管炎では、17〜63%に癌の再発が認められる。また、胆道良性疾患の術後でも、術後胆管炎胆管癌発生の危険因子であり、術後胆管炎を繰り返す症例には悪性疾患が隠れている可能性がある。

ガイドライン作成委員より患者さんへ
がんなどの悪性の病気の手術後しばらくして急性胆管炎になった場合には、17〜63%にがんの再発が認められています。また、悪性の病気でなくても、手術後に急性胆管炎になることは、胆管がんが発生する原因となる場合があります。さらに、手術後に急性胆管炎を繰り返す場合は悪性の病気が隠れている場合があるので、注意する必要があります。
 


医学用語解説
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
悪性疾患
(あくせいしっかん)
細胞が分裂する際に形が変化して勝手に増えていき、正常な細胞を破壊していく腫れもののことです。代表的なものにがんがあり、最初に発生した場所から周囲の臓器やリンパ節、やがては遠隔臓器へ転移して生命に危険を及ぼします。胆管内にがんができると胆管が狭くなって胆汁の流れが滞り、胆管炎を発症する危険性が高まります。
術後晩期
(じゅつごばんき)
手術を行ってから長期間経った時期のことです。がんの手術で胆管の一部を切り取った場合は、同時に胆管と腸をつなぐ手術を行うことが一般的です。すると、大腸内にすむ細菌が胆管に逆流しやすくなり、細菌感染を引き起こして急性胆管炎の症状が出ることがあります。
胆管炎
(たんかんえん)
胆汁の通り道のうち、肝臓内から伸びている肝内胆管や胆嚢管、胆嚢管の下から十二指腸の合流点である総胆管に、炎症が起こることです。これは、胆管内に発生した胆石によって胆汁の流れが滞り、大腸内にすみつく細菌が胆汁中で増殖し、胆管に感染することが主な原因です。
胆道良性疾患
(たんどうりょうせいしっかん)
胆道で発症した病気の中でも、適切な治療で治すことができるものをいいます。いわゆる悪性疾患であるがん以外の病気で、ここでは胆管結石、十二指腸乳頭狭窄(じゅうにしちょうにゅうとうきょうさく)、術後良性胆管狭窄などの病気が挙げられます。
術後胆管炎
(じゅつごたんかんえん)
手術後に胆管が狭くなり、胆汁の流れが滞り、細菌が増えて炎症が起こる場合や、手術後に腸液や消化液が胆管内に逆流し、細菌が増殖した場合、または、手術の方法によって胆管の中に泥が貯留したり、よどんだりして炎症が起こることです。例として、膵管胆道合流異常という病気の治療のため手術を行った結果、胆管と腸をつなぎ合わせた部分が狭くなったり、もともと肝臓内にある胆汁の通り道が狭かったりすることが原因で胆管炎が起こることがあります。膵管胆道合流異常とは、生まれつき胆管と膵管との合流位置が、十二指腸から離れた場所にある病気です。
胆管癌
(たんかんがん)
胆汁の通り道である胆管に、悪性の腫れものであるがんができることです。早期の段階ではあまり自覚症状が出ませんが、胆管は細いため、がんが大きくなると胆石が発生したときと同じように胆汁の流れが滞ってしまいます。そのため胆汁の色素成分であるビリルビンが血液中に多く混ざり、白目が黄色くなる症状の黄疸が現れます。
危険因子
(きけんいんし)
特定の病気の発症に関係し、その発症の確率を高める要因のことです。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q42 術後急性胆管炎に悪性疾患は隠れていないか?
 
 
 
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