急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説
急性胆管炎の鑑別疾患には上部消化管疾患、急性肝炎、急性膵炎や急性胆嚢炎などの消化器疾患があげられる。さらに、胸部疾患や泌尿器疾患など他領域の疾患も念頭に置く必要がある。 |
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ガイドライン作成委員より患者さんへ | ||
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医学用語解説 | ||
![]() | 急性胆管炎 (きゅうせいたんかんえん) | 胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。 |
![]() | 上部消化管疾患 (じょうぶしょうかかんしっかん) | 上側の消化管である食道、胃、十二指腸に症状が起こるさまざまな病気のことです。中でも急性胆管炎と症状が似ている病気には、急性胆嚢炎、急性肝炎、急性膵炎などが挙げられます。 |
![]() | 急性肝炎 (きゅうせいかんえん) | 肝臓の機能が働かなくなる病気のうち、急激に発症したもののことです。原因は肝炎ウイルスへの感染で、肝機能の基準となるGOTやGPTといった血液中の酵素の値が急激に上昇することが特徴です。黄疸やだるさ、疲れ、発熱などの症状が出ますが、適切な治療を行えば1〜2カ月で治るものもあります。 |
![]() | 急性膵炎 (きゅうせいすいえん) | 何かの原因で、食べ物を消化するために分泌される膵液が、短期間に膵臓自体を消化してしまう病気のことです。お酒の飲み過ぎや胆石などが原因となることが多いとされていますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。急激なおなかの痛みが特徴的で、治療は、まず絶食による膵臓の安静と、鎮痛薬の投与、輸液による全身管理等が行われます。 |
![]() | 急性胆嚢炎 (きゅうせいたんのうえん) | 多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。 |
![]() | 消化器疾患 (しょうかきしっかん) | 食物を消化したり栄養を吸収したりする役割を果たす臓器に起こる病気のことです。消化器疾患にかかる恐れがある臓器には、食道や胃、十二指腸、肝臓、胆道、膵臓、結腸、直腸などがあります。中でも急性胆嚢炎の場合、症状や一部の画像検査の結果だけでは、胃・十二指腸潰瘍や結腸憩室炎、急性膵炎などの消化器に起こる病気との区別がつかないことがあり、さらに詳しい検査を行う必要がある場合もあります。 |
![]() | 胸部疾患 (きょうぶしっかん) | 呼吸器、心臓、食道の三つに大きく分かれ、肺や心臓、気管、気管支、食道など、胸の位置にある臓器に起こる病気のことです。ここでは急性胆管炎と似た症状が起こる病気として、肺梗塞や右下葉肺炎などの病気を指しています。 |
![]() | 泌尿器疾患 (ひにょうきしっかん) | 腎臓や尿管、膀胱、尿道など、老廃物を尿として排出するために機能する器官に起こる病気のことです。急性胆管炎に似た症状が出る泌尿器の病気には、腎盂腎炎(じんうじんえん)などが挙げられます。腎盂腎炎は細菌が尿道から逆流するように進入し、腎盂や腎杯(じんぱい)などに感染する病気です。発熱や吐き気、腎臓付近の痛みなどの症状が出ます。 |
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(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン Q40 急性胆管炎の診断時に鑑別を要する疾患は?