急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

典型的な症状としては、右上腹部痛悪寒を伴った発熱、黄疸があげられる。これらはCharcot3徴として知られているが、すべてを満たすのは約50〜70%程度の症例である。
重症胆管炎についてはReynolds5徴を認めるのは10%未満の症例にみられるのに過ぎない。

ガイドライン作成委員より患者さんへ
急性胆管炎の代表的な症状は、腹痛、発熱、黄疸の三つです。これは、シャルコ3徴と呼ばれていて有名な症状ですが、三つの症状が揃うのは約50〜70%で、症状が一つの場合や、二つの場合も少なくありません。また、これまで重症の胆管炎の診断として、レイノルズ5徴と呼ばれている症状があります。腹痛、発熱、黄疸に加えてショック[血圧低下]と意識障害を示すものです。このレイノルズ5徴は有名ですが、五つの症状が揃うのは10%未満です。このため、正確な診断には、新しい診断基準が必要とされたのです。
 


医学用語解説
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
右上腹部痛
(みぎじょうふくぶつう)
右の脇腹上の辺りに痛みが起こることです。急性胆管炎の典型的な症状として、右脇腹上の痛み、熱が出て寒気がする、白目が黄色くなるなどが挙げられます。この三つの症状は、急性胆管炎の患者さんの50〜70%程度に見られます。
悪寒
(おかん)
ぞくぞくとして寒気を感じることです。熱があるときなどに、顔は熱いのに、どんな厚着をしても体がこごえてしまうような状態を指します。
黄疸
(おうだん)
血液中のビリルビンが増加することで、肌や白目が黄色っぽくなる症状のことです。ビリルビンは、赤血球の成分であるヘモグロビンが変化したもので、茶褐色の色素成分です。通常は胆汁の流れに乗って十二指腸へと排出され、一部は再利用、残りは尿として排泄されますが、胆石によって胆汁の流れがせき止められてしまったり、流れにくくなったりすることで、胆汁が肝臓を経て血管へ逆流し、血液中のビリルビンが増加します。
Charcot3徴
(シャルコ3ちょう)
おなかの右上の痛み、熱が出て寒気がする、白目が黄色いという三つの症状を合わせたものをいいます。これらは急性胆管炎の象徴的な症状として知られています。
胆管炎
(たんかんえん)
胆汁の通り道のうち、肝臓内から伸びている肝内胆管や胆嚢管、胆嚢管の下から十二指腸の合流点である総胆管に、炎症が起こることです。これは、胆管内に発生した胆石によって胆汁の流れが滞り、大腸内にすみつく細菌が胆汁中で増殖し、胆管に感染することが主な原因です。
Reynolds5徴
(レイノルズ5ちょう)
Charcot3徴というおなかの右上の痛み、熱が出て寒気がする、白目が黄色いという三つの症状を合わせたものに、血液の流れに障害が及び、急激に血圧が低下した状態が続くショック、意識がはっきりとしない意識障害の二つを合わせた五つの徴候をいいます。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q26 どのような臨床症状の患者で急性胆管炎を疑うべきか(急性胆管炎はどのような症状をきたすのか)?
 
 
 
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