急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

1年間に無症状患者の1〜2%、軽症状を有する患者の1〜3%が、重篤な症状、あるいは合併症急性胆嚢炎急性胆管炎高度黄疸膵炎など]を発症する。
急性胆嚢炎は、胆石症の最も頻度が高い合併症である。

ガイドライン作成委員より患者さんへ
胆石症と診断された患者さんが急性胆嚢炎、急性胆管炎、黄疸、急性膵炎などを発症する確率は、症状がない患者さんでは1年間で1〜2%、軽い症状がある患者さんでは1〜3%です。胆石症と診断された場合、現在、症状がなくても、将来胆嚢炎が起こる可能性があることを覚えておきましょう。
 


医学用語解説
胆石症
(たんせきしょう)
胆汁に含まれる成分の一部が石のように固まったものが、胆道内に発生する病気のことです。できた石がごく小さく、何の症状も出ない場合もありますが、胆嚢管や総胆管から十二指腸への出口のように細くなっているところで石が引っ掛かると、強い痛みが生じます。胆石が小さく、固まった成分がコレステロールで少数であれば、薬や体の外から衝撃波を与えることで除去できる場合もあります。
急性胆嚢炎
(きゅうせいたんのうえん)
多くの場合、胆嚢の出入り口に胆石が詰まるなどして、胆嚢が血行障害を起こしたり、胆汁の流れが滞ったりして膨れ、痛みが起こる病気のことです。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなると、痛みが治まる場合もありますが、そのまま胆石が詰まっていると、腸内の細菌などが逆流して細菌感染を引き起こします。
合併症
(がっぺいしょう)
ある病気を治療している最中や前後に発症したそのほかの病気のうち、ある病気が原因となって起こった、別の病気のことです。胆石症を患っていると、急性胆嚢炎を発症する危険性が高まります。
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
高度黄疸
(こうどおうだん)
肌や白目が黄色っぽくなる症状が出る黄疸のうち、血液中のビリルビンの値が非常に高いものです。血液中のビリルビンは、0.2〜1.2mg/dlが正常値ですが、重症になると血液中のビリルビン値は20mg/dl以上になります。
膵炎
(すいえん)
膵臓に炎症が起こる病気のことです。急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。急性は、食べ物を消化するために膵臓から分泌される消化液が、何かのきっかけで膵臓自体を消化してしまうことが原因で起こります。一方、慢性は長い時間をかけて膵臓に炎症が起こります。急性膵炎の原因ははっきりとは分かりませんが、男性ではお酒の飲み過ぎ、女性では胆石が最も多いとされています。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q6 無症状あるいは軽症状の胆石症患者が急性胆嚢炎を発症するリスクは?
 
 
 
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