糖尿病 Minds版ガイドライン解説

食事療法目標血糖値が達成できない場合はインスリン療法を開始する。妊婦への経口血糖降下薬投与については推奨できない。原則としてインスリン療法に変更する。グレードA コンセンサス
超速効型インスリンについては、胎盤の移行性母体合併症、特に糖尿病網膜症への影響、胎児への影響の点からは安全とする報告が蓄積されてきている。グレードB レベル2
超速効型インスリン糖代謝異常妊婦血糖管理に際しQOL[quality of life]を向上させ、有用である。現在までのところ胎児に対する悪影響は報告されていない。グレードB レベル3

ガイドライン作成委員より患者さんへ
妊娠糖尿病の治療の基本は食事療法ですが、十分な血糖コントロールが得られない場合はインスリン注射を行います。経口薬は胎児へ悪影響を及ぼす可能性があります。インスリンには何種類もありますが、胎児への安全性が確立しているのは数種類です。
 


医学用語解説
インスリン療法
(インスリンりょうほう)
不足しているインスリンを、注射によって外から補う治療法です。インスリンがほとんど、もしくは全く分泌されない1型糖尿病では、インスリン治療は不可欠です。一方、2型糖尿病では食事療法、運動療法、経口血糖降下薬を用いても血糖値を下げられない場合に、インスリン治療が選択されます。また、著しい高血糖のために膵臓(すいぞう)の働きが低下している場合にも、インスリン治療が行われることがあります。
食事療法
(しょくじりょうほう)
食事習慣を整えて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を治療する方法です。摂取エネルギー量の制限、栄養バランスの適正化、1日3食の規則正しい食事を摂るなどの指導が行われます。
目標血糖値
(もくひょうけっとうち)
糖尿病の治療を行うときの、治療の目標値です。血糖をコントロールする目安として、一晩絶食した朝に採血して測定する空腹時血糖値、血糖値が高くなる食後に採血して測定する食後2時間血糖値、1〜2カ月間の平均血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などが用いられます。
経口血糖降下薬投与
(けいこうけっとうこうかやくとうよ)
血液中のブドウ糖濃度である血糖値を低下させる薬のうち、口から飲むタイプの薬を服用することです。血糖値を低下させる薬には、経口血糖降下薬とインスリン注射があります。経口血糖降下薬には、小腸からの糖の吸収速度を緩めたり、血液中のブドウ糖細胞に取り込む作用を促すインスリンの分泌量を増やしたり、インスリンの効き目を高めたりするものがあります。
超速効型インスリン
(ちょうそっこうがたインスリン)
糖尿病治療に用いられるインスリンのうち、その効果が注射直後から生じるタイプのものです。効果は10〜40分後に出始め、30分〜1.5時間後に最大となり、3〜5時間後に消失します。超速効型インスリンは、注射後すぐに体内に吸収されるように改良されており、超速効型インスリンアナログともいいます。食後の血糖値の上昇を抑えるため、食事の直前に注射をします。
胎盤の移行性
(たいばんのいこうせい)
母親が摂取した薬などの胎盤への移動しやすさのことです。胎盤とは母親の子宮の中で、赤ちゃんに栄養を共有するための組織です。妊娠時に母親が胎盤に移行しやすい薬を飲むと、その薬の作用は胎児に及ぶため、胎児の成長に影響を及ぼす可能性があります。そのため、母親が治療で薬を使用する際は、使用する薬の胎盤への移行性を十分に検討する必要があります。
母体合併症
(ぼたいがっぺいしょう)
妊娠中に妊婦自身がかかった何らかの病気のことです。妊娠中は、糖尿病だけでなく高血圧や尿中にタンパク質が漏れ出す尿タンパクになりやすくなります。もとから糖尿病にかかっていた妊婦は、妊娠中もしくは出産後に何らかの合併症が生じやすいことが分かっています。
糖尿病網膜症
(とうにょうびょうもうまくしょう)
糖尿病が原因で引き起こされた目の網膜(もうまく)の異常のことです。網膜は眼球の内側にあり、物を見るための神経が集まった薄い膜です。血糖値の高い状態が続くと網膜の細い血管が傷つけられ、血液の流れが悪くなります。すると網膜に十分な酸素が行き届かなくなり、網膜から出血したり、網膜が剥がれたりするため、失明の原因となることがあります。
糖代謝異常妊婦
(とうたいしゃいじょうにんぷ)
糖の消化・吸収、利用、貯蔵といった一連の流れを糖代謝といい、それに異常が生じた妊婦のことです。糖代謝に異常があると、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が高い状態が続き、それが妊娠中の妊婦本人の健康や、おなかの赤ちゃんの発育を害する危険性があります。そのため、医師の指示の下で、血糖値をしっかりとコントロールする必要があります。
血糖管理
(けっとうかんり)
血液中のブドウ糖の濃度である血糖値を正常な値に保つことです。血糖コントロールの目安として、一晩絶食した朝に採血して測定する空腹時血糖値、血糖値が高くなる食後に採血して測定する食後2時間血糖値、1〜2カ月間の平均血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などが用いられます。
QOL[quality of life]
(キューオーエル[クオリティー・オブ・ライフ])
日常生活の質を英語で略したものです。患者さんの日ごろの生活の内容や、活動性の高さのことです。病気を治療する際は、病気そのものを治すだけでなく、患者さんの苦痛をできるだけ和らげて、病気にかかる前と同じような充実した日々を送れるように支援することが重視されています。糖尿病治療では、糖尿病の悪化を防ぐとともに、日常生活の質を低下させる症状が起こらないように管理、治療を行うことが求められます。
有用
(ゆうよう)
役に立つことです。効果があるだけでなく、安全面でも優れていることを意味します。ここでは糖尿病を改善するために役立つ、検査や処置、治療のことです。食事や運動習慣を改善することや薬を使った治療などは、血糖値をコントロールするのに役立ちます。

 


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版  ステートメント
 
 
 
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