(旧版)糖尿病 Minds版ガイドライン解説

肥満がある場合にはこれを是正することによって、高血糖高血圧脂質代謝異常などの大血管症危険因子を軽減できる。
グレードA レベル2

ガイドライン作成委員より患者さんへ
肥満には高血糖、脂質異常、高血圧が合併しやすく、いずれもが動脈硬化の進展につながります。また、これらが複数重なると、それだけ一層危険性が高まります。このような場合は、まずは肥満の改善によって高血糖、脂質異常、高血圧を軽減し、動脈硬化進展の予防に努めます。
 


医学用語解説
肥満
(ひまん)
体内に脂肪が異常に蓄積し、体重が増え過ぎた状態のことです。主に、運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が原因である場合と、ホルモンの異常や遺伝などが原因である場合があります。BMI(ビーエムアイ)という身長当たりの体重指数が25kg/m2以上になると、肥満と診断されます。なおBMIは、体重[kg]÷身長[m]2で計算され、一般的にはBMIは22が理想とされていますが、肥満の糖尿病患者さんにおける目標BMIは、病状と生活習慣を考えて目標値を定めるのが望ましいとされています。
高血糖
(こうけっとう)
血液中のブドウ糖の濃度である血糖値が上昇し、正常な値よりも高くなった状態のことです。食事の後にも血糖値は上昇しますが、すぐに膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖は肝臓や筋肉の細胞に取り込まれるため、高血糖状態は数時間後には解消されます。しかし糖尿病は、インスリンが不足したり、効き目が悪くなったりするため、高血糖状態が長時間持続することになります。
高血圧
(こうけつあつ)
血管内の血液が血管の壁に与える圧力である血圧が、基準値を超えて高くなる病気です。高血圧が進行すると、血管が硬く、詰まりやすくなり、脳卒中や心臓病にかかる危険性が高くなります。日本人の成人では、収縮期(しゅうしゅくき)血圧が140mmHg以上、または拡張期(かくちょうき)血圧が90mmHg以上になると、高血圧と診断されます[小児の場合は年齢によって差がありますが、成人の数値よりも若干低くなります]。収縮期血圧は、心臓が血液を送り出すために収縮したときの血圧、拡張期血圧は心臓が広がって血液を送り出す準備をするときの血圧です。糖尿病患者さんが高血圧を合併している場合、収縮期血圧が130mmHg未満、拡張期血圧が80mmHg未満を治療目標値とします。
脂質代謝異常
(ししつたいしゃいじょう)
血液中の脂質成分であるコレステロールや中性脂肪などが異常に増加、もしくは減少した状態です。脂質代謝異常は食べ過ぎや運動不足の人に生じやすいことが分かっています。脂質代謝異常が起こると、コレステロールが血管の壁に付着して、血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化が生じやすくなることから、生活習慣を改善し、それでも十分な効果が得られない場合は、治療薬の投与が行われます。
大血管症危険因子
(だいけっかんしょうきけんいんし)
脳卒中や心臓病といった、大血管症にかかりやすくなる要因のことです。大血管病の危険因子には、加齢や肥満、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常、喫煙などがあり、生活習慣の改善や治療を行って、危険因子の程度を軽減することにより、大血管病が起こる可能性を低下させることができます。

 


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(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版  ステートメント
 
 
 
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