(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版

3 小児の片頭痛はどのような治療薬が用いられるのでしようか

推奨 小児の片頭痛の急性期治療には、イブプロフェンとアセトアミノフェンが効果的な急性期治療薬です。イブプロフェンは最良の鎮痛作用を示します。イブプロフェンと比較するとアセトアミノフェンは早く効果が出現しますが鎮痛作用はやや弱いようです
  グレードA:行うよう強く勧められる

解説
小児にもトリプタン系薬剤は使えないこともないのですが(サイドメモ参照)、処方例の蓄積が十分でないことから、イブプロフェンとアセトアミノフェンが選択薬とされています。
小児片頭痛患者の予防薬のなかで最も多く使われているのは、抗うつ薬のアミトリプチリン(年長者に多い)と抗ヒスタミン薬のシプロヘプタジン(年少者に多い)です。
6ヵ月の経過観察中の改善率は、アミトリプチリン89%、シプロヘプタジン83%でした。ほかにバルプロ酸ナトリウム、プロプラノロールなど複数の薬剤が小児にも検討されていますが、どの研究も症例数が少なく、小児片頭痛患者の予防薬に関するエビデンスは少ないといわざるをえません。

サイドメモ
イブプロフェン:小児は体重当たりとし、5mg/kg、ただし成人の最高用量、200mg/回、600mg/日を超えないこと。
アセトアミノフェン:10mg/kg、ただし、成人の最高用量、500mg/回、1500mg/日を超えないこと。
トリプタン系薬剤は小児にも使えるか
ほとんどの薬は成人をもとに開発されているために「小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)」と書かれています。トリプタンもしかりです。本ガイドラインによれば体重40kg以上、12歳以上の小児には、成人と同量のトリプタンを使用可能とされています。それ未満の小児でも減量すれば使用できる可能性があります。他の方法で効果がないような小児の重症片頭痛発作にはトリプタンの使用も考えられます。
 

 

 
 
 
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