(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版
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薬物乱用頭痛の予防と治療の原則は次の3点です。
(1)原因薬物の中止
(2)薬物中止後に起こる頭痛への対応
(3)予防薬の投与
薬物乱用頭痛の原因となった薬剤は徐々に減らす方法と、すぐに中止する方法の2種類がありますが、すぐに中止する方法のほうが良好な結果を得られます。薬物中止後に起こる頭痛にはトリプタン系薬剤などで対処します。予防薬としては、抗うつ薬、抗てんかん薬、ステロイド、トリプタン、消炎鎮痛薬とさまざまな薬物療法が試みられています。とくに抗うつ薬のアミノトリプチリンは、原因薬物の服用中止後の頭痛頻度を有意(ゆうい)に減少させると報告されています。
薬物乱用頭痛は、原因薬物の服用中止により70%の症例で改善が得られますが、長期的には約40%が再び薬物乱用を起こしています。薬物乱用頭痛の予防にはなんといっても薬ののみすぎを避けることが大切です。日ごろからトリプタン、鎮痛薬、エルゴタミン製剤などの使用頻度を月10日以上とならないよう、できれば月10回以内の服用に留めるよう心がけてください。
「月10日」について補足しておきます。ある日に頭痛の発作が起こったとします。その日の急性期治療薬(頓挫薬)の服用回数と服用量はその薬の用法用量の範囲内に留めてください。頓挫薬を服用した日数の合計が月に10日未満であれば薬物乱用頭痛に陥るおそれは少ないとされています。合計が10日ということは、極端な場合、10日間1日3回鎮痛薬とトリプタンの2錠を連用して、後の20日はお薬を飲まなければよいのです。また3日おきに頓挫薬を服用してもよいということになります。それよりも少な目の月に10回程度の頓挫薬の服用であれば(たとえばある日に1日3回3日間服用すればのべ9回となります。服用日数は3日です)、薬物乱用頭痛のおそれはまずありませんので、早め早めに服用していただいて結構です。月10日以上服薬が必要であれば医師の指導のもとに治療していただきたいです。場合によっては頭痛予防薬を使用しましょう。
