(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版

1 緊張型頭痛はどのように分類し、診断されるのですか

推奨 国際頭痛分類第2版に基づいて分類・診断することが推奨されます
  グレードA:行うよう強く勧められる

解説
一般集団における緊張型頭痛の生涯有病率は30〜78%の範囲とされており、一次性頭痛のなかで最も多いと考えられています。
国際頭痛分類第2版では、その発症頻度で、月に15日未満の反復性緊張型頭痛と、月に15日以上の慢性緊張型頭痛(年間180日以上)に分けています。さらに反復性緊張型頭痛は、1ヵ月に1日未満(年間12日未満)の稀発緊張型頭痛と、1日以上15日未満の頻発反復性緊張型頭痛(年間12日以上180日未満)に分けられます。
一般に緊張型頭痛は生活支障が少ないとされていますが、慢性緊張型頭痛の場合は生活の質(QOL)を大きく低下させ、高度の障害を惹(ひ)き起こす場合があります。

表8 前兆のない片頭痛と緊張型頭痛の鑑別
  片頭痛 緊張型頭痛
前駆症状 目のチカチカ、生あくび、不定の予知感 圧迫、締め付け
頭痛の誘発・強化 ストレス、過労
運動など、動きにより悪化
ストレスからの解放
雑踏、寝過ぎ、炎天下、飲酒
うつむき姿勢
初発年齢 30歳以下が多い 30歳以降もあり
家族歴 濃厚 希薄
痛みの性状 拍動性(脈拍に一致) 圧迫、締め付け
痛みの部位 片側に出現、両側に出現しても強さに左右差 両側性が多い
頻度 頭痛発作であること。数日ないし数週の間隔をおいて出現 一定しない
持続 長くて2〜3日 一定しない
悪心、嘔吐 伴うことがあり なし
随伴症状 肩こり、めまい感
光・音・臭いに過敏 なし
注:初発年齢や家族歴については、忘れてしまっていたり、知らない(家族から聞いてない)ことがしばしばあり、注意が必要である。

サイドメモ
国際頭痛分類第2版における緊張型頭痛の診断基準によると、緊張型頭痛の3つのタイプの違いは診断基準のA項に示されます。B〜E項はほぼ同じです。
表9 緊張型頭痛の診断基準
A    〈2.1 稀発反復性緊張型頭痛は、1ヵ月に1日未満の頻度で生じる頭痛〉
    〈2.2 頻発反復性緊張型頭痛は、1ヵ月に1日以上、15日未満の頻度生じる頭痛〉
    〈2.3 慢性緊張型頭痛は、1ヵ月に15日以上の頻度生じる頭痛〉
B   頭痛は30分〜7日間持続する
C   頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
    1    両側性
  2    性状は圧迫感または締め付け感(非拍動性)
  3    強さは軽度〜中等度
  4    歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない
D   以下の両方を満たす
  1    悪心や嘔吐はない(食欲不振を伴うことはある)
  2    光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみ
E   その他の疾患によらない
  緊張型頭痛の診断基準をひとつだけ満たさず、かつ片頭痛でないものは、〈2.4 緊張型頭痛の疑い〉に分類されます。
緊張型頭痛の危険因子や誘因
心理社会的ストレス、不安、うつ、運動不足・うつむき姿勢、あるいは口・顎部の機能異常が緊張型頭痛の発症に関係します。
 


【参照】
第1章:頭痛一般 4 簡易診断アルゴリズムとはどのようなものですか、どのように使用するのですか

 

 
 
 
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