(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版
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髄液とは頭蓋内に貯溜(ちょりゅう)する液体で脳や脊髄を保護する作用があります。脳脊髄液量の減少により、脊髄液のなかに浮いている状態の脳の浮力が減少し、脳を支える組織が刺激されて疼痛が起こります。低髄液圧による頭痛は座位または立位をとると悪化するのが特徴です。
脳脊髄液量が減少するとふつう低髄液圧となりますが、これを補う作用が働き正常圧となることがあります。それでも髄液減少のための耳鳴、聴力低下、光過敏、悪心などの症状が現れます。正常圧のこともあることから「脳脊髄液減少症」という病名が提唱されています。
低髄液圧性頭痛は神経根の部分から髄液が漏れ出すことが有力な原因です。その誘引としては、いきみ、咳込み、性行為、頭頸部外傷、しりもち、などが挙げられています。最近、むち打ち症と脳脊髄液減少症の関係がマスコミで取り上げられていますが、むち打ち症の症状がすべて脳脊髄液減少症と考えるのは正しくありません。
低髄液圧性頭痛の診断
低髄液圧性頭痛の診断には腰椎穿刺(ようついせんし)を行い、髄液圧の低下を証明すればよいのですが、低髄液圧を起こさせる場合もありますし、正常圧になっていることがあるので、診断の確定にはそれほど役立ちません。画像診断のMRで髄液減少による脳の下垂所見、硬膜の造影所見、MR脊髄造影が診断の参考となります。アイソトープにより脳脊髄液漏出部位を確認するとよいのですが、この検査法が可能な施設は限られます。
低髄液圧性頭痛の治療法
安静臥床(がしょう)、水分補給、点滴などで改善を待ちますが、難治の場合は硬膜外ブラッド・パッチ法(EBP)を行います。
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