(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版

7 どのような一次性頭痛を治療したらよいで しょうか

推奨 一次性頭痛は、苦痛があれば重症度にかかわらず、治療の対象となります。頭痛が日常生活に支障をきたしている場合は、積極的に治療を行うべきです
  グレードA:行うよう強く勧められる

解説
日本の片頭痛の有病率は8.4%です。日常生活におよぼす影響は、いつも寝込む4%、ときどき寝込む30%、寝込まないが支障あり40%と、合計74%が日常生活に支障をきたしています。また緊張型頭痛は29.2%と片頭痛に比べ影響が少ない傾向がみられました。しかし、緊張型頭痛のうち慢性緊張型頭痛に関しては40.5%が日常生活に支障をきたしていました。
医療機関への受診率は片頭痛で30%、慢性緊張型頭痛で73%です。しかし、受診したことがあっても必ずしも適切な治療を受けていない実情があります。二次性頭痛の除外が強調され、一次性頭痛の原因、診断の説明および治療が不十分なことが多く、日本における頭痛診療は患者さんのニーズを満たしていないといわれています。
一次性頭痛の治療目的は、(1)頭痛頻度、頭痛強度、持続時間を減らすこと、(2)頭痛により障害される時間を短くし、QOLを改良すること、(3)薬物乱用による頭痛の悪化を回避することです。

サイドメモ
QOLQuality of Life)は「生活の質」と訳されています。
頭痛診療の今後のあり方として、病診連携(病院と診療所双方向の連携)が望まれます。多くの慢性頭痛患者は、どこを受診してよいかわからず、市販薬ですませており、適切な治療がなされていません。一次性頭痛は、かかりつけ医から頭痛専門医への紹介で適切な診断と治療が受けられます。
片頭痛の急性期治療では、障害のレベルに準じた層別化治療が推奨されます。層別化治療とは支障度のレベルに応じて治療するもので、支障度の低い場合は単一成分の鎮痛薬、支障度の高い患者には初回治療からトリプタン系薬剤を処方する治療法です。この方式は患者さんのQOLをより高めるとされています。
 

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