有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン
文献ID:S0030668
PMID:
14618626
文献番号
72
AF
4
研究方法
コホート研究。がん登録との照合。
検査法
PSA、DRE、TRUS同時に実施で1回だけの検診(1988-1989年)。
対象数
検診群946人 対照群657人
対象集団の特性
検診群はストックホルムの南部在住の55-70歳の住民。対照群は、1913年生まれのGothenberg在住の住民で1980年の健康診査受診者(当時67歳)。
対象集団の設定条件
対照群は、健康診査(前立腺がん検診は含まれない)時の血清が保存できており採血時以前に前立腺がんの診断がなされていない例。このほかlead time測定のために、両群とも同地区の年齢をマッチさせたbackgroundを抽出し、累積の罹患率を比較している。
検診群における受診率・要精検率
検診群77.0%(949人/1,233人)
評価指標
前立腺がん累積罹患率
評価指標の把握
がん登録との照合。
結果
PSA 3ng/mL以上の対照群の累積罹患率は約10.6年で検診群に追いついた。検診群のlead timeの中央値は、PSA基礎値が3.0ng/ml以上、3.0-9.9ng/ml、10.0ng/ml以上でそれぞれ4.5年、5.3年、3.5年であった。対照群では観察期間の設定を長くすると、遅くなって発見される臨床がんが増えるために、各PSA基礎値ごとのlead timeは長くなったが、20年の経過観察では、lead timeの中央値はPSA基礎値が3.0ng/ml以上、3.0-9.9ng/ml、10.0ng/ml以上でそれぞれ10.7年、11.2年、3.6年であった。
不利益
リードタイムバイアス(上記)
研究全般に関するコメント
元々別の研究として設定されたコホートを用いた研究である。PSAの値ではなくDREとTRUSの結果で要精検と判定したこと、生検は細胞診で判定していたことなどから発見率が低い。他の文献と比べて、lead timeは短めに見積もられており、“20年の経過観察による結果”の方が適切であろう。