有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン
文献ID:S0030637
PMID:
12515782
文献番号
41
AF
1
研究方法
時系列研究
検査法
PSA
対象数
前立腺がん(C61、sarcoma,leukemia, lymphoma, melanomaを除く)32,745人(1985-1989年7,730人、1990-1994年12,570人、1995-1999年12,445人)。
対象集団の特性
50-74歳男性(1985-1999年)
対象集団の設定条件
Canada British Columbia州 88SHAs(small health areas)
検診群における受診率・要精検率
PSA受診率は不明。前立腺がん罹患で代用。
評価指標
前立腺がん罹患率・死亡率の1985-1989年、1990-1994年、1995-1999年の変化割合。
評価指標の把握
がん登録(British Columbia Cancer Registry) Health Data Warehouse, British Columbia Minestry Health
結果
1)罹患率は1985-1989年に比べて1990-1994年は53.2%上昇。死亡率は17.6%減少。
2)1985-1989年と1990-1994年の罹患率を年齢別に比較すると、50-74歳で53.2%、75歳以上で14.6%増加した。1985-1989年と1995-1999年の死亡率を比較すると、50-74歳で17.6%、75歳以上で7.9%減少した。
3)前立腺がんの普及が低率(30)、中等度(29)、高率(29)の3地域について、1985-1989年と1990-1994年の罹患率を比較すると、各々5.4%、53.6%、70.5%増加した。同様に、1985-1989年と1995-1999年の死亡率を比較すると、各々28.9%、18.0%、13.5%減少した。すなわち、罹患率を代替指標として88の地域を3群に分けて死亡率減少効果を見たが、もっとも減少していたのは罹患率が低い群であった。
不利益
記載なし。
研究全般に関するコメント
個別の受診状況を把握した上での前立腺がん検診の普及としたのではなく、前立腺がんの罹患(1990-1994年)を代替指標として分類している。このため、受診そのものと罹患や死亡の関連が必ずしも明確ではない。検診と治療の影響の混在もあるが、その影響は分離しては評価できない点について言及している。追跡期間が不十分な可能性がある。
検診の普及の低い地域で、罹患率の増加が大きいにもかかわらず、死亡率の減少が最も大きかった。地域相関研究としては質の高い研究であるが、研究デザインの限界もあり、検診そのものの効果をそのまま評価できない。