有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン

文献ID:S0030632

著者

中川修一/中村晃和/渡辺 泱

出典: 日本泌尿器科学会雑誌/ 89巻, 11号, 894-8頁/ 発行年 1998年

文献番号

36

AF

1

研究方法

症例対照研究

検査法

TRS、TRS+DRE、TRS+DRE+PSA、PSA単独方式が混在。

対象数

症例群31人 対照群155人

対象集団の特性

55歳以上(平均年齢:症例群71.6歳・対照群71.2歳)

対象集団の設定条件

全国34市町村

検診群における受診率・要精検率

受診歴あり:症例群23% 対照群45%

評価指標

進行がん(stage C, D)

評価指標の把握

詳細不明(おそらく、検診後の追跡調査)

結果

1975年から1997年までに同一市町村で2回以上検診を行った全国34市町村における検診受診者は26,270人であった。
このうち2回目以降の検診で進行がん(stage C, D)と診断された31人を症例群とした。
対照群は、検診実施年月、年齢、居住市町村を一致させた症例を1:5の比率で受診者名簿から選んだ。
過去3年以内に検診受診歴のあるものを「受診歴あり」、それ以前に受診していた症例を「受診歴なし」とした。
症例群の受診歴ありは23%、対照群のそれは45%であり、オッズ比は0.36 (95%CI:0.15-0.87)であった(P<0.05)。
検診受診間隔からみた場合、オッズ比に有意差が認められたのは1年前の受診のみであったことから(オッズ比 0.22、95%CI:0.07-0.70)、検診受診間隔は1年ごとが適当と推測された。

不利益

記載なし。

研究全般に関するコメント

1)症例群は検診発見がんから進行がんを選択している。一方、対照群は受診者名簿から選択している。検診の寄与を検討する場合であれば、対象地域の進行がん罹患を症例群とし、受診者名簿ではなく、受診対象となりうる、検診受診対象者名簿や住民基本台帳から対照群を抽出すべきである。
2)PSAに限定せず、前立腺がんの多種の方法による検診を評価しているため、PSAの評価には適切ではない。
3)研究方法に問題はあるが、国内で行われた唯一の症例対照研究である。

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