有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン

文献ID:S0030627 PMID: 9973093

著者

Labrie F/Candas B/Dupont A/Cusan L/Gomez JL/Suburu RE/Diamond P/Lévesque J/Belanger A.

出典: Prostate/ 38巻, 2号, 83-91頁/ 発行年 1999年

文献番号

31

AF

1

研究方法

無作為化比較対照試験

検査法

PSA検診(逐年)

対象数

検診群 30,956人 非検診群 15,237人 (無作為割付時)

対象集団の特性

45-80歳

対象集団の設定条件

一般人口 (ケベック、カナダ)

検診群における受診率・要精検率

検診者の23.1%が受診、要精検率は不明。

評価指標

死亡率

評価指標の把握

死亡登録 (Death Registry of the Health Department of the Province of Quebec)

結果

1989年から1996年にかけて、38,056人の非検診群(割付と無関係に、事実として期間中に受診しなかった者)の中から137人が前立腺がんで死亡した。検診群(割付と無関係に、事実として期間中に受診した者)では5人が前立腺がんで死亡した。(無作為割付を無視した場合の)10万人年あたりの前立腺がん死亡率は、それぞれ48.7人と15人(P=0.02)で、オッズ比は3.25(P<0.01)であった。検診を受けることにより、前立腺がんの死亡率を、67.1%減らすことができる。

不利益

記載なし。

研究全般に関するコメント

著者らの結論は、無作為割付を無視しているため、そのままでは利用できない。intention-to-treat analysisの原則に従うと、非検診群では15,432人中73人が前立腺がんで死亡し、検診群では31,300人中140人が前立腺がんで死亡していた。前立腺がんの死亡率は、検診により、6%減らせるかもしれない(有意差の記載はない)という結論になる。
理想的な状況(健康に関心が高い希望者に検診)では、死亡率が最大67.1%低下する可能性がある。実際の状況(市町村で検診)では、6%低下する可能性がある。この論文は、主たる解析時に無作為割付を無視しているため、実質的にコホート研究と変わりなく、偏りが混入している可能性がある。
前立腺がんの検診の有効性を高めるためには、コンプライアンスの向上が重要になる。ただし、精密検査時の負担を考えると、23.1%を超えることは容易ではないように思われる。わが国で実施する際も、理想的な状況下と、実際の状況の数値に乖離が生ずる可能性があることに注意が必要である。

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