有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン

文献ID:S0024423

著者

中山富雄/楠 洋子/鈴木隆一郎

出典: 厚生の指標/ 48巻, 7号, 9-14頁/ 発行年 2001年

AF

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研究方法

ランダム化比較試験、症例対照研究/メタアナリシス

検診方法

胸部X線と喀痰細胞診

対象数

ランダム化比較試験4文献:症例18,007人、対照18,010人
症例対照研究8文献:症例1,909人、対照9,788人

対象集団の特性

ランダム化比較試験のうちJHLP・MSKLP・MLPの3文献は45歳以上喫煙男性、CSLPは40-64歳喫煙男性。症例対照研究はGDR-1は70歳未満男性、GDR-2では60歳未満男性、成毛班・金子班は40-74歳男女、群馬・宮城・新潟・岡山は40-79歳男女

対象集団の設定条件

JHLPは工場従事者が主、MLPは外来患者、CSLP・MSKLPは一般住民。
症例対照研究は各地域住民

評価指標

ランダム化比較試験では累積死亡率、症例対照研究ではオッズ比を評価指標として、4つのランダム化比較試験と8つの症例対照研究のsummarized relative risk(SRR)を算出。

評価指標の把握

ランダム化比較試験:手紙調査、中央判定、アンケート調査等
症例対照研究:がん登録、死亡診断書等

結果

1つのランダム化比較試験と8つの症例対照研究のSRRは0.701(95%CI:0.626-0.784)であり、検診受診が無検診よりも30%弱の死亡率減少効果があることが示唆された。研究デザイン別の解析では、ランダム化比較試験のSRRは1.013(0.881-1.165)、検診と無検診の比較のみでもSRRは1.144(0.930-1.409)で検診の有効性は認められなかった。一方、症例対照研究では、SRRは0.570-0.667の間にあり、統計学的に有意に検診の有効性を示す結果であった。

不利益

記載なし

研究全般に関するコメント

肺がん検診の有効性についてのメタ・アナリシスであるが、研究デザインごとに偏りの違いがあり、効果の評価に差が出ている。
日本の肺がん検診については死亡減少効果を認めている。男性では検診の効果があるが10-30%と低い(統計学的に有意)、女性では、50%と効果が大きいと評価された。
外国の肺がん検診については、効果がない。

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