有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン
文献ID:S0024419
PMID:
1730517
AF
1
研究方法
症例対照研究
検診方法
胸部X線検診+喀痰細胞診
対象数
ケースは、40歳から74歳の喫煙男性および非喫煙女性で、肺癌検診開始時より同一地域に居住し肺癌と診断され、1981年から1988年に肺癌死亡した273例である。コントロールは性、年齢、居住地でマッチさせ、ケースの肺癌診断時に生存し、男性の場合は喫煙者であり、女性の場合は非喫煙者である1,269例である。
対象集団の特性
ケース群:男性208人、女性65人
コントロール群:男性964人、女性305人
年齢:40歳以上74歳以下
母集団男性136,860人の肺癌検診受診率は胸部写真36.2%、細胞診7.4%、女性146,481人の肺癌検診受診率は胸部写真50.2%、喀痰細胞診0.8%。
対象集団の設定条件
日本全国50カ所の地方自治体
評価指標
肺癌死亡のオッズ比
評価指標の把握
死亡診断書、病院カルテ、聞き取り調査
結果
症例対照研究の結果、喫煙歴補正にて1年以内の検診受診は肺癌による死亡のオッズ比は0.72 (95%CI,0.50-1.03)であった。
12ヶ月以内の検診受診者は、未受診者に比し肺癌死亡のオッズ比0.72であるが、95%信頼区間は0.5-1.03で、統計学的有意とは言えなかった。
不利益
記載なし
研究全般に関するコメント
1980年代の日本の肺癌検診の有効性評価のための症例対照研究である。症例数不足から統計学的有意は示されなかったが、検診受診により肺癌死亡リスクの減弱が示唆された。
充分にコントロールされた症例対照研究ではあるが、地域間での検診の精度の差や組織型不明肺癌が14.3%あり、そのオッズ比が0.17(95%CI,0.05-0.65)と最も低い点などが結果に影響を及ぼした可能性がある。