（旧版）科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版

Evidence Level

IV

目的

膵癌切除例および非切除例に対するIORTの影響を，予後と除痛効果について検討。

研究施設/組織

NTT東日本関東病院

研究期間

1980年1月〜1999年12月

対象患者

上記施設で，上記期間に治療した膵癌症例でIORT 併用例と非併用例
膵癌切除63: IORT (＋) 8例 (B)，IORT (−) 55例 (D)
膵癌非切除99例: IORT (＋) 40例 (A)，IORT (−) 59例 (C)

介入

腹腔動脈，上腸間膜動脈，門脈，血管周囲神経叢浸潤でew (＋) の7例とew (−) の1例: 4例に20Gy，4例に25Gy
対照としたIORT (−) 群のewについては記載がない。

主要評価項目

生命予後

結果

　　　　　　　　　6ヵ月生存　　1年生存　　2年生存　　5年生存　　生存中央期間
B群 (n＝7) 　　 　71% 　　　　43% 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　12ヵ月
D群 (n＝56) 　　 　89% 　　　　53% 　　　　22% 　　　 8%
　　　　　　　　　　　　　　　　　　生存曲線　P＝0.27

　　　　　　　　　6ヵ月生存　　1年生存　　生存中央期間
A群 (n＝40) 　　 　55% 　　　 20% 　　　 　7ヵ月
C群 (n＝59) 　　 　26% 　　　 　9% 　　　　4ヵ月
　　　　　　　　　　　　　生存曲線　P＜0.01

除痛効果: A群―著効17例，有効1例，無効4例
　　　　　　 C群に腹腔神経叢ブロック― 3例で無効

結論

切除例に対するIORTは，予後に影響しない

作成者

下瀬川　徹，石川　治

コメント

単一施設の後ろ向きコホート研究。
症例数が少ないが，切除例と非切除例を分けて，それぞれの群でIORTの効果をみている。