(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020357
PMID:
1359851
Evidence Level
IV
目的
術前放射線化学療法の安全性と画像および組織学的効果を検討。
研究施設/組織
MD Anderson Cancer Center
研究期間
記載なし
対象患者
遠隔転移がなく,切除可能と判定された症例で,組織,細胞診で膵癌と診断された28症例
介入
18-MeV photonで50Gy照射; 1.8Gy×28 (5日/週),5-FU 300mg/m2/日で持続静注 (5日/週) を併用
主要評価項目
副作用と安全性,組織学的効果
結果
Grade 2以上の白血球減少は4%と骨髄抑制は少なかったが,消化器症状はgrade 3が21%と多かったが,副作用で手術の実施が遅れた症例はなかった。術後3日目に心筋梗塞で死亡を1例,術後重篤な合併症 (腹腔内出血,消化管出血,膵吻合縫合不全) を3例に認めた。
画像上前後径で0.6cm,横径で0.5cmの縮小を認めたが,PRはなかった。50%以上の組織学的効果を認めた症例は7/17例 (41%) であった。後腹膜側断端陰性 (82%),リンパ節転移陰性 (71%),血管浸潤陰性 (82%),リンパ管浸潤陰性 (94%) で,これらの陰性率が高かった。
結論
術前放射線化学療法後でも膵頭十二指腸切除における合併症発生率は低かった。
作成者
石川 治,大東弘明
コメント
術前放射線療法を行っても膵頭十二指腸切除の術後合併症は増加せず,安全性が示唆された。良好な組織学的効果が認められたが,それが遠隔成績の改善につながるか否か不明。