(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020268
PMID:
2211209
Evidence Level
IV
目的
切除または非切除の膵癌に対する外照射と術中照射の有効性を検討する。
研究施設/組織
Department of Radiology, Faculty of Medicine, Kyoto University, Japan
研究期間
1983〜1989年
対象患者
外照射,術中照射またはその両方を施行した膵癌90例。対照として,1975年1月から1983年2月まで切除単独のみ施行された112例
介入
外照射は根治切除例に対して50〜55Gy,非根治切除または非切除例に対しては55〜60Gy,術中照射線量は根治切除例には25Gy,非根治切除,または非切除例には30〜33Gy照射した。
主要評価項目
生存期間,疼痛効果,有害事象
結果
肉眼的切除後に放射線治療を施行した群の生存期間中央値は14ヵ月と切除単独群の10ヵ月に比し少しよかったが,3年生存率は21%,19%とほぼ同じであった。非根治切除例では,照射例の生存期間中央値は12ヵ月で,非照射群の6.5ヵ月より有意によかった。切除不能,遠隔転移のない症例では,照射例の生存期間中央値は8ヵ月と非照射の3.5ヵ月より有意によかった。遠隔転移のある症例においても照射例が4.5ヵ月と非照射の2.5ヵ月よりも生存期間がよかった。疼痛緩和が得られたのは27例 (90%) であった。
結論
外照射と術中照射の組み合わせは膵臓癌の治療に有用である。
作成者
伊藤芳紀,根本建二
コメント
生存に関して照射併用がよさそうであるが,subanalysisでは症例数がそれほど多くなく,バイアスも考えられ,断定的なことはいえない。安全性はあるようである。