(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020258
PMID:
12599244
Evidence Level
III
目的
局所進行膵癌に対する術中照射と5-FU持続静注併用外照射の有効性と安全性を検討する。
研究施設/組織
Division of Hepatobiliary Pancreatic Medical Oncology, National Cancer Center Hospital East, Chiba, Japan
研究期間
1995〜2001年
対象患者
術前画像診断で局所進行膵癌と診断され,術中に組織学的に証明された30例。
介入
術中照射25Gy投与した。総線量40Gyとし,5-FU 200mg/m2を放射線治療期間中に24時間持続静注。
主要評価項目
生存期間,有害事象,腫瘍縮小効果
結果
30例中28例が外照射40Gyを完遂した (93.3%)。腫瘍縮小効果として,PR 7例を認め,response rateは23.3%であった。grade 3,4の有害事象は評価可能である28例中15例 (53.6%)に認めた。grade 3,4の食思不振が10例,4例,grade 3の嘔気,嘔吐,倦怠感,AST/ALT上昇が各々6例,1例,4例,無増悪生存期間中央値は3.3ヵ月で,1年,2年無増悪生存率は13.3%,10.0%であった。生存期間中央値は7.8ヵ月で,1年,2年生存率は36.7%,8.1%であった。
結論
本治療レジメンは従来の5-FU持続静注併用放射線治療に比して有効ではないと考えられる。
作成者
伊藤芳紀,根本建二
コメント
よく計画された第II相試験である。本治療レジメンの耐用性はあるが,生存期間の延長は従来の5-FU持続静注併用放射線治療に比して望めないようである。レジメンの有用性に比して術中照射の役割は読み取れない。