(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020205
PMID:
15908661
Evidence Level
II
目的
ゲムシタビンとオキサリプラチンの併用療法 (GEMOX) と,ゲムシタビン単剤 (GEM) を投与された患者の生存期間を比較する。
研究施設/組織
フランス (GERCOR) とイタリア (GISCAD) の研究グループが共同で行った。
研究期間
2001年3月〜2003年2月
対象患者
前治療のない,病理学的に証明された,局所進行型もしくは遠隔転移を有する膵臓癌患者313名。
GEMOX群 157例,GEM群 156例
介入
GEMOX群: ゲムシタビン1000mg/m2/100分: Day 1,オキサリプラチン100mg/m2/2時間: Day 2,2週間ごとに繰り返す。
GEM群: ゲムシタビン1000mg/m2/30分,1コース目は週1回7週連続投与,1週休薬。以後は週1回3週連続投与,1週休薬。
主要評価項目
生存期間
結果
GEMOXは奏効割合 (26.8% vs 17.3%,P=0.04),無増悪生存期間 (5.8 vs 3.7ヵ月,P=0.04),症状緩和効果 (38.2% vs 26.9%,P=0.03) で有意差をもってGEMよりも良好な成績であったが,生存期間ではGEMOX群に良好な傾向があるものの有意差を認めなかった (9.0 vs 7.1ヵ月,P=0.13)。副作用に関してはGEMOX群でgrade 3・4の血小板減少,嘔吐,神経症状が多かったが,全体としては許容範囲であった。
結論
GEMOXの効果と安全性が確認されたが,生存期間ではGEMと比べて有意差は認められなかった。
症状緩和効果がGEMより優れていることが証明された初めての併用療法なので,さらに開発を続ける価値がある。
作成者
森実千種,奥坂拓志
コメント
今回の試験では生存期間に有意な差は認められなかった。GEMOXを1アームとするランダム化比較試験が現在ECOGにより進められている。