(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020173
Evidence Level
V
目的
膵疾患に対する超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA) の有用性を検討する。
研究施設/組織
愛知県がんセンター,同消化器内科部
研究期間
1997〜2001年
対象患者
同期間にEUS-FNAを施行した231例中,最終診断の得られた127例 (通常型膵癌87例,膵管内乳頭腫瘍2例,転移性膵腫瘍1例,腫瘤形成性膵炎12例,良性膵管内乳頭腫瘍10例,慢性膵炎8例,膵ラ氏島細胞腫3例,漿液性嚢胞腺腫3例,類上皮嚢胞1例)
介入
EUS-FNA
主要評価項目
検体採取率,良悪性の診断能,Diff Quik (DQ) 法併用による成績,膵癌と腫瘤形成性膵炎の診断能,合併症
結果
126/127例にて検体採取が可能であり,悪性疾患の正診率88.1%,感度83.3%,特異度100%であった。DQ法を併用することにより 正診率は92.4%へ上昇した。膵癌と腫瘤形成性膵炎との検討では正診率76.2%,感度75.9%,特異度100%であった。合併症は2.36%に認めた。腹水の出現率はEUS-FNA施行の有無で差を認めなかった。
結論
膵疾患の診断にEUS-FNAは有用で安全な検査法である。
作成者
山雄健次,田近正洋
コメント
EUS-FNABの高い診断能を証明しているが,比較試験を行っていないため,EUS-FNABの有用性に関しては証明できていない。