(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版
文献ID:S0020114
PMID:
11249079
Evidence Level
III
目的
膵癌患者の症状の発現状況から早期診断の手がかりを探る。
研究施設/組織
Dep. of Internal Medicine and Gastroenterology, University of Bologna, S. Orsola Hospital, イタリア
研究期間
1989〜1998年
対象患者
膵癌305例 (男性188例,女性117例,平均年齢61歳) と年齢,性をマッチさせた健常人305例
介入
なし
主要評価項目
腹痛や黄疸の発現する前の臨床症状 (食欲不振,痒み,便通,気分や嗜好の変化) を面接で調査
結果
膵癌患者では腹痛・黄疸の発現前に,食欲低下22.3%,痒み6.6%,便通変化4.9%,気分の変化3.3%,嗜好 (コーヒー,タバコ,ワイン,肉など) の変化が0.7〜1.6%に認められ,突然の糖尿病発症は17%に認められた。健常人と比べ,便通と気分の変化以外は有意差が得られた。
結論
膵癌患者の0〜15%は腹痛・黄疸発現の前に,特異的ではないが何らかの症状を発しているので,膵癌の早期発見のための機会となりうる。
作成者
白鳥敬子,清水京子
コメント
膵癌患者の早期にみられる症状の種類と発現頻度を健常人と比較した研究で,疫学的意義の高い論文である。