有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
文献ID:S0016628
PMID:
7654107
方法
全大腸内視鏡
AF(Analytic Framework)
1
研究方法
症例対照研究
検診方法
硬性鏡,S状結腸鏡,大腸内視鏡,内視鏡下治療等全てを含む大腸検査手技
対象数
症例群:1988-1992年に大腸がんで死亡した4,358人
対照群:症例の死亡時に生存が確認されている16,531人(生存対照)と,症例と同一年度に他の原因で死亡した16,199人(死亡対照)
受診率
診断前10年間の大腸関連の検査受検率:ケース2.5%(107人/4,358人),生存対照7.8%(1,288人/16,531人),死亡対照8.1%(1,309人/16,199人).
対象集団の特性
男性が98%以上,平均年齢68-69歳
対象集団の設定条件
退役軍人
評価指標
大腸検査を受けることによる大腸がんによる死亡リスクの低減
評価指標の把握
退役軍人が加入している医療保険で受けた検査,治療内容,死亡等の情報が得られる.
結果
いずれの対照群を用いても,検査を受けることにより,大腸がんによる死亡を約60%減少させることができる.
不利益
記載なし
研究全般に関するコメント
加入期間,検査回数,NSAIDsでの治療の有無などで調整し,いずれの対照群を用いても検査を行うことにより,死亡リスクを約60%減少させることができる.また,結腸がんと直腸がんにわけても,オッズ比は0.45-0.26で検査による死亡リスクの低減を証明している.しかし,直近の検査歴で見た場合,観察年との間にオッズ比の増加に直線性がなく,考慮されていないバイアスの存在が考えられる.また,検査手技別にオッズ比を算出しているが,硬性鏡で効果が示されているのにS状結腸鏡では認められないなど,理解しづらい結果も出ている.これらの原因として,ある検査を受けたグループに何らかの特性をもった集団が偏在している可能性が考えられる(例えば,コントロールにはS状結腸鏡検査を受けた人が多いがケースには少ない).また,腸の一部を観察するだけの検査とポリペクトミーなどの治療を混ぜて検討することにも問題がある.