有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

文献ID:S0016551 PMID: 12612899

著者

Sung JJ/Chan FK/Leung WK/Wu JC/Lau JY/Ching J/To KF/Lee YT/Luk YW/Kung NN/Kwok SP/Li MK/Chung SC

出典: Gastroenterology/ 124巻, 608-14頁/ 発行年 2003年

方法

S状結腸鏡+便潜血検査化学法

AF(Analytic Framework)

3

研究方法

検査精度

検診方法

無症状者505人を対象として,便潜血検査化学法(食事制限なし,加水なし)と全大腸内視鏡検査両者を実施し,便潜血検査・S状結腸内視鏡検査・便潜血検査とS状結腸内視鏡検査併用法の精度を評価した.

対象数

505人

対象集団の特性

男性224人・女性281人.年齢は50歳以上で,平均年齢±SDは56.4±5.4歳.12.5%にadvanced colonic neoplasm(10mm以上の腺腫・25%以上の絨毛成分を有する腺腫・中等度から高度異型腺腫・浸潤がん)を認めた.

対象集団の設定条件

50歳以上の中国人を対象に参加候補者を募り,参加の適否を決定した.除外基準は,大腸がんやポリープの既往や家族歴がある者・5年以内に大腸がんスクリーニング(便潜血検査・注腸X線検査・大腸内視鏡検査)を受けた者・排便状況が変化したり血便がある者・憩室や炎症性腸疾患の既往がある者・内視鏡検査のリスクが高い重篤な疾患を有する者・人工弁や人工血管手術を受けた者・抗凝固剤使用中の者である.

評価指標

感度・特異度

評価指標の把握

全大腸内視鏡検査を至適基準とし,同時に実施した便潜血検査のadvanced colonic neoplasmに対する感度と特異度を算出した.また,全大腸内視鏡検査を行った際に肛門縁から40cmまでの所見をS状結腸内視鏡検査の結果とみなして,S状結腸内視鏡検査のadvanced colonic neoplasmに対する感度を算出した.

結果

便潜血検査単独の感度14.3%・特異度79.2%,S状結腸内視鏡検査単独の感度77.8%・特異度83.9%,便潜血検査とS状結腸内視鏡検査併用法の感度81.0%・特異度66.7%と算出された.性別や年齢別(50-59歳vs60歳)には,いずれの検査法も感度・特異度に有意差はなかった.

不利益

505人に実施した全大腸内視鏡検査と148人に実施したポリペクトミーで穿孔は生じなかったが,ポリペクトミー後に輸血を要する出血が1人で生じた.

研究全般に関するコメント

便潜血検査やS状結腸内視鏡検査の精度を評価した研究.他の論文を比較する際には,
1)精度評価の対象疾患はがんだけではなく,10mm以上の腺腫や25%以上の絨毛成分を有する腺腫も含めて検討を行っていることと,
2)S状結腸内視鏡検査に関する成績は全大腸内視鏡検査をもとに推定したものであり,実際にS状結腸内視鏡検査も施行した成績ではないこと,に注意が必要である.

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