有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

文献ID:S0016550 PMID: 11529208

著者

Lieberman DA/Weiss DG/et al.

出典: N Engl J Med/ 345巻, 8号, 555-60頁/ 発行年 2001年

方法

S状結腸鏡+便潜血検査化学法

AF(Analytic Framework)

3

研究方法

検査精度

検診方法

便潜血検査化学法(3日法,加水あり)と全大腸内視鏡検査両者を実施した無症状者2,885人を対象として,便潜血検査・S状結腸内視鏡検査・便潜血検査とS状結腸内視鏡検査併用法の精度を評価した.

対象数

2,885人

対象集団の特性

96.8%が男性,年齢は50-75歳(平均63.0歳).10.6%にadvanced colonic neoplasia(10mm以上の腺腫・25%以上の絨毛成分を有する腺腫・高度異型腺腫・浸潤がん)を認めた.これ以外に,27.3%に10mm未満の腺腫を認めた.

対象集団の設定条件

13ヶ所のVeterans AFfairs medical centersで参加候補者を募り,簡単な質問票で参加の適否を決定した.除外基準は,対象年齢外・大腸がんに関係する症状を有する者・過去10年間の大腸精密検査(S状結腸内視鏡検査・全大腸内視鏡検査・注腸X線検査)受診歴・大腸疾患(大腸炎・ポリープ・がん)の既往・重篤な疾患がある・抗凝固療法中・人工弁にした人・内視鏡検査に際して特別な注意が必要(抗生剤の予防投与など),他の研究に参加している・その他(精神障害・ホームレスなど)・出産の可能性がある女性などである.

評価指標

感度・特異度

評価指標の把握

全大腸内視鏡検査を至適基準とし,同時に実施した便潜血検査のadvanced colonic neoplasiaに対する感度と特異度を算出した.また,全大腸内視鏡検査を行った際の直腸とS状結腸の所見をS状結腸内視鏡検査の結果とみなして,S状結腸内視鏡検査のadvanced colonic neoplasiaに対する感度を算出した.

結果

便潜血検査単独の感度23.9%,便潜血検査単独の特異度93.8%,S状結腸内視鏡検査単独の感度70.3%,便潜血検査+S状結腸内視鏡検査併用法の感度75.8%と算出された.

不利益

便潜血検査とS状結腸内視鏡検査の併用による1回のスクリーニングで,24%の大腸病変が見落とされる.

研究全般に関するコメント

便潜血検査やS状結腸内視鏡検査の精度を評価した研究.方法や結果の記載が詳細にされており,わかりやすい.他の論文を比較する際には,
1)精度評価の対象疾患はがんだけではなく,10mm以上の腺腫や25%以上の絨毛成分を有する腺腫も含めて検討を行っていることと,
2)S状結腸内視鏡検査に関する成績は全大腸内視鏡検査をもとに推定したものであり,実際にS状結腸内視鏡検査も施行した成績ではないことに注意が必要である.

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