(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
文献ID:S0007702
PMID:
3686234
研究デザイン
6. Cohort Study
Evidence Level
Level 5
研究施設
アラバマ大学脳神経外科、バーミングハム、アラバマ、米国
目的
化学的髄核融解術と低侵襲性椎間板摘出術の有効性の比較を後ろ向き検定を用いて検討すること。
研究期間
平均経過観察期間は18ヵ月(6-46ヵ月)
対象患者
腰椎椎間板ヘルニアにより下肢痛を訴えている126名。根性疼痛が4週間以上継続し、1週間以上の床上安静を伴う保存治療に抵抗性である症例。SLR test、femoral stretch testに陽性で、傍脊柱筋のスパスム、筋力低下、知覚過敏、深部腱反射の左右不整などの神経症状が認められ、脊髄造影検査やCT 検査で腰部神経根の圧迫を認めるものを対象とした。また、腰椎椎間板ヘルニアの手術既往がある例、以前に化学的髄核融解術を受けたことがある例、高度の脊柱加齢性変化を認める例は除外した。
症例数
126
介入
化学的髄核融解術(45名、36%)と低侵襲性椎間板摘出術(81名、64%)の治療法について検討した。退院は満足が得られ、鎮痛剤の投与の必要がなくなった時点とした。
主要評価項目とそれに用いた統計手法
改善度、合併症、入院期間など。
結果
化学的髄核融解術(45名、36%)を行った27名(60%)が良好な結果と回答し、52%が注入後持続的な腰痛と傍脊柱筋のスパスムを訴えていた。また、感染は2.2%であった。一方、低侵襲性椎間板摘出術(81名、64%)は術後に持続的な腰痛と傍脊柱筋のスパスムを訴えていた症例は5%で、感染は1.2%であった。入院期間は低侵襲性椎間板摘出術で6.4日、同じ手術でモルヒネとステロイドを併用したのが3.4日、化学的髄核融解術が2.6日であった。
結論
化学的髄核融解術は低侵襲性椎間板摘出術と比較して治療成績も劣っており、合併症も多いことから治療法としては望ましくないと考えられる。
コメント
患者の選択も偏りがあり、聞き取り調査の時期も症例によってまちまちであり、参考程度。
作成者
波呂浩孝