(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
文献ID:S0007699
PMID:
2743657
研究デザイン
5. CCT (Controlled Clinical Trial)
Evidence Level
Level 5
研究施設
Oakland Naval Hosp.
目的
腰椎椎間板ヘルニアに対するchemonucleolysisとヘルニア摘除術との成績を比較すること
研究期間
1983年1月-1987年4月
対象患者
6週以上の病歴、2週以上の保存的治療歴、神経学的に知覚異常や反射低下が一致し、SLR(+)で、CTM上root欠を認めるものを対象とした。
除外:drop foot、馬尾症、精神疾患合併、脊柱管の50%以上を占拠する巨大ヘルニア、LCS、Recess Stenosis、変性すべり、instability
症例数
100
追跡率(%)
100
対象人種
カナダ軍兵士
介入
Chemoの除痛率80%、Opeの除痛率90%と説明した上で、患者自身が治療法を選択
Chemo群(51例):Chymopapain 1.4-1.8ml (2000U/ml)を注入
M46、F5、18-54(平均33)歳、41例は1椎間・10例2椎間(61椎間)
L4/529椎間、L5/S 33椎間、6-35(平均16)ヵ月のFU
Ope群(49例):いわゆるLove変法(ルーペ使用)
M44、F5、18-65(平均34)歳、46例は1椎間・3例2椎間(52椎間)
L3/41椎間、L4/519椎間、L5/S 32椎間、6-24(平均12)ヵ月のFU
主要評価項目とそれに用いた統計手法
1)SpenglerとMacNabに準じた評価criteria。患者の主観による疼痛の経過に、客観的な神経根症状の経過を加味して評価
2)入院日数
3)術中合併症
4)術後合併症
記述のみで、統計学的検定はなし
結果
1)Chemo群:満足40例(78%)、下肢痛残存→再手術9例(18%)、腰痛残存2例(4%)
Ope群:満足39例(80%)、腰痛残存7例(14%)、下肢痛残存3例(6%)
Chemo群の下肢痛残存→再手術例は、術後全例回復
2)Chemo群:2-18(平均5.3)日Ope群:4-9(平均5.7)日
3)両群ともなし、Chemo群1例で腸骨稜が高くL5/S 穿刺不能のため、後日opeとなった。
4)Chemo群:2例でchemical discitiS, 1例でレベル間違い(集計から除外)Ope群:5例で一過性の知覚低下
結論
両群とも“満足”の率は80%と高く、合併症の率も低い。
Chemonucleolysis後、下肢痛が残存したため手術となった例では、Chemonucleolysisの影響で手術操作に支障を来したものはなく、全例術後回復が得られた。
最終的に“不満足”となるものは、むしろOpe群の方が多い。
作成者
若林良明