(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
文献ID:S0007693
PMID:
8983651
研究デザイン
6. Cohort Study
Evidence Level
Level 5
研究施設
Turka Univ. Central Hosp. とTurka City Hosp. にて治療
Research & Development Centre of the Social Insurance Instituteにて評価
目的
坐骨神経痛に対する、手術療法と保存的治療の長期予後を調査すること。
研究期間
1980年-82年に治療した患者を、1993年1-4月に最終F/U
FU 11.5-14.4(平均12.9)年
対象患者
1980-82年に入院した“severe sciatica”を呈する患者群342名
発症-受診は平均3ヵ月、全例入院前に“traditional medical care”と理学療法施行
55歳以下、脊椎手術歴(−)を条件とする
症例数
342
追跡率(%)
87.4
介入
OP群(220例):partial laminectomy+flaval fenestration臨床所見、Myelo/EMG所見より手術適応と判断したものをOP群として手術
術中所見でLCS合併例は除外
FU率89.5%(195/220)、M102、F95、51.3±8.4歳
L4/5/5/Sが96%、L3/4が4%
CONS群(122例):保存療法継続
上記の適応外と患者はCONS群としたFU率83.6%(102/122)、M47、F55、52.4±9.9歳
主要評価項目とそれに用いた統計手法
1)各群の13年の経過中に(re-)opeを行った率
調査時(治療開始1、5、13年後)の各群の
2)患者自己評価によるsciaticaの有無(痛みのある率)
3)ADL score(Bergquist index: 20点満点)
4)患者自己評価による、治療開始時と比べて“不変”または“悪化”している率
5)脊椎疾患のために“retire”した率
6)“general life satisfaction”として“満足していない”率
記述のみで、統計学的な検討はなし
直接検診かアンケートかの記載はないが、検討内容からアンケートと考えられる
結果
1)OP群:LDH31/197例(同レベル同側の再発は16/197例)、LCS7/197例
CONS群:LDH9/102例、LCS5/102例
2)OP群:1年68%、5年68%、13年67% CONS群:1年81%、5年82%、13年68%
3)OP群:1年4.3、5年4.9、13年5.1CONS群:1年7.0、5年6.2、13年5.8
4)OP群:1年9%、5年16%、13年19% CONS群:1年41%、5年44%、13年41%
5)OP群:1年7%、5年21%、13年20.5% CONS群:1年14%、5年26%、13年20.5%
6)OP群:1年17%、5年19%、13年26% CONS群:1年33%、5年20%、13年24%
結論
OP群のre-ope率は19%と高かったが、真の“再発”によるre-ope率は8%であった。
CONS群が13年の経過で、手術に至るope率は9%であった。
長期(13年)FUの結果、5評価項目中4項目においてOP群とCONS群には差がなかった。
治療開始時と比べて“不変”または“悪化”しているのは、CONS群の方が多かった。
OPの早期予後(1年、5年)はCONS群に比較して良いので、治療期間の短縮には効果的。
手術療法は下肢痛が耐え難いような時にのみ適応と考えられる。
作成者
林 良明