(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
文献ID:S0007687
PMID:
8686522
研究デザイン
4. RCT (Randomized Controlled Trial)
Evidence Level
Level 4
研究施設
マーチンルーサー大学医学部脳神経外科ドイツ
目的
術中硬膜外モルヒネ投与が腰椎椎間板ヘルニアの術後疼痛の軽減に有用であるかを検討すること。
研究期間
1996年
対象患者
対象は初回腰椎椎間板手術を受ける患者で、インフォームドコンセントの得られた症例である。
症例数
68
介入
2重盲検的に症例を3群に分類した。1群(MOF)はモルヒネ5mg とフェンタニル0.1mg、生食10mlを投与した24例、2群(MOD)はモルヒネ5mgとドロペリドール2.5mg、生食10mlを投与した22例、3群(PLA)は生食10mlのみを投与した22例とした。麻酔はプロポフォールとフェンタニル、アトラクリウムベシラートで導入後、挿管し笑気とプロポフォール、アトラクリウムベシラートで維持した。手術の最後にシリコンチューブで薬剤を硬膜外に投与した。
主要評価項目とそれに用いた統計手法
術後の疼痛は最初の2時間は15分毎、その後6時間は30分毎、24時間まで3時間毎にvisual analog scale(VAS)で評価した。嘔気や嘔吐、排尿障害などのオピオイドの副作用、追加した鎮痛薬の量、動脈血のO2、CO2分圧をパルスオキシメーターで記録した。
統計処理はソフトウェアーパッケージDATA-FITとWilcoxon testを用いた。
結果
VASの疼痛スコアーはMOFとMODの間には差がなかったが、両群とPLAの間には最初の24時間は有意な差があった。鎮痛薬の追加投与はMOF群では1例もなく、MOD群では1例あったのに対してPLA群では13例あり、他の2群に比べ有意に多かった。動脈血酸素分圧は3群間で差がなかった。術後の嘔吐はMOF群5例、MOD群12例、PLA群14例、排尿障害はMOF群2例、MOD群8例、PLA群6例で両者とも3群間に差がなかった。
結論
腰椎椎間板ヘルニアの手術でモルヒネ術中硬膜外投与は、安全かつ最初の24時間のみ術後疼痛管理に有効である。フェンタニルの追加は術後鎮痛に有意な相乗効果はなく、ドロペリドールの追加はモルヒネの副作用である嘔気の軽減に有効ではなかった。
作成者
鎌田修博