(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

文献ID:S0007600 PMID: 7640093

著者

Dullerud R/Johansen JG/Johnsen UL/et al.

出典: Acta Radiol/ 36巻, 5号, 491-6頁/ 発行年 1995年09月

研究デザイン

12. 分析的横断研究

Evidence Level

Level 9

研究施設

ウレバール大学放射線科、オスロ、ノルウェイ

目的

椎間板ヘルニアが後縦靭帯内に収まっている(contained type)かどうかCTとMRIの正確性の比較。

対象患者

坐骨神経痛を有する患者で、観血的手術か経皮的髄核摘出術かを決定するためにCT以外に補足的にMRIを撮像した121例中、閉所恐怖症、肥満、脳血管クリップにてMRI 撮像不可7例を除く114例124椎間板。男53、女61.18-68歳、平均38.1歳。

症例数

114

介入

5mmスライスで下位腰椎の3つの椎間板と椎体のCTを撮像、同日中にMRIも撮像した。

主要評価項目とそれに用いた統計手法

椎間板ヘルニアをCTでcotained typeとnoncontained typeに分類。
noncontained typeは以下の条件の1つ以上を満たすとき診断した
境界が不鮮明または不整
ヘルニア基部と椎間板母体が鋭角
lateral recess内に存在
硬膜の直径の50%以上の大きさ
頭側または尾側へmigrateしたもの
MRIでもcotained typeとoncontained typeに分類
noncontained typeは後縦靭帯と線維輪が描写されているが、低輝度の境界が不連続または欠損しているもの。
CTとMRIの分類:二人の神経放射線学者によってなされた。
検者間、検者内変動性(kappa test、P<0.05)を4ヵ月後に同画像評価にてテストされ、第三者が評価した。
111椎間板の最終診断は、CT椎間板造影(造影剤の流出=noncontained type)によってなされた。
残る13椎間板は手術によってなされた。
検者間、検者内変化はkappa test(p<0.05)で行われた。

結果

MRIで8例(CTで1例):cotained typeをnoncontained typeとされた。
よってCTがMRより7例正確に診断された。これはMRIでの後縦靭帯の診断を誤ったため。他の117椎間板では、CT、MRIで同じ診断がなされた。うち109椎間板は正確であった。
CTとMRIのsensitivity は50%。MRIのnoncontained typeに対するpositive predictive value(PPD)は46%、CTのpositive predictive value は87.5%であった。
【表を参照】

結論

MRIはCTよりも実際の椎間板の分類においては優れてはいないようである。
CTは石灰化描写の感受性が優れており、椎間板ヘルニア患者の評価において重要である(経皮的髄核摘出術は禁忌のため)。
よって、CT所見と臨床所見の一致している患者においては、術前評価としてCTをまず行うべきで、臨床所見とCT所見に食い違いのある患者で、MRIを追加すべきである。

作成者

柳橋 寧

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