(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

文献ID:S0007541

著者

伊藤拓緯/山田光則/内山政二

出典: 整災外/ 39巻, 15-9頁/ 発行年 1996年

研究デザイン

13. その他

Evidence Level

Level 11

研究施設

新潟大学医学部整形外科

目的

脱出椎間板の吸収反応に関する組織学的特徴を検討。

研究期間

不詳

対象患者

1. 臨床病理学的研究:sequestrationタイプの腰椎椎間板ヘルニア35例の手術時摘出標本、男性32例、女性3例、年齢は平均50歳。
2. 実験的研究:雑種成犬10頭。

症例数

35

介入

実験的研究において、腰椎椎間板の線維輪部と軟骨終板部を別々に硬膜外に留置。

主要評価項目とそれに用いた統計手法

1. 臨床病理学的研究:椎間板ヘルニア手術時摘出標本の光学顕微鏡による観察、免疫組織学的にCD68を一次抗体としてマクロファージの存在を検討。
2. 実験的研究:2、4、8、12、24週間後、組織学的に検討。

結果

1. 臨床病理学的研究:35例中30例の脱出椎間板の線維軟骨辺縁部に、多くの小血管ならびに多数のマクロファージが認められた。CD68を用いた免疫組織化学染色でも、マクロファージと思われる細胞が多数みられた。紡錘形細胞の多くがCD68陽性であった。新生血管や多数のマクロファージの間に、軟骨細胞や器質が島状に散在していた。35例中10例に、ヘルニア腫瘤内に軟骨終板と思われる硝子軟骨を認めた。硝子軟骨部の周囲には小血管を認めたが、血管の内部への侵入は認められなかった。硝子軟骨の辺縁に接して多核の巨細胞が散見された。
2. 実験的研究:線維軟骨部には2週後、すでに新生血管および多数のマクロファージの浸潤が認められた。時間の経過とともに線維輪は縮小、24週後には完全に消失しているものもあった。硝子軟骨内部には血管新生は認められなかった。硝子軟骨表面にはTR-ACP染色陽性の多核巨細胞や単核細胞が認められた。時間の経過とともに硝子軟骨も縮小、しかし
24週後にも残存していた。

結論

1. 出型椎間板ヘルニア組織には生体の吸収反応が生じる。
2. 線維軟骨と硝子軟骨には異なった吸収反応が生じる。
3. 硝子軟骨は線維軟骨に比し吸収に時間を要することが示唆された。

作成者

山口 潔

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