「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」厚生科学研究補助金(21世紀型医療開拓推進研究事業:EBM分野)
文献ID:S0005010
PMID:
10577586
Ev level
IV
対象患者と研究施設
参加者は世帯人口調査およびオーストラリアのビクトリアに居住する40歳以上の住民を代表した階層別の無作為クラスター抽出により募集
都市部居住者 : 3271名(83%適格)。年齢40-98歳(平均59歳)、男性1511名(46%)。老人ホーム居住者 : 403名(90%適格)。46-101歳(平均82歳)、男性85名(21%)。郊外居住者1473名(92%適格)。: 40-103歳(平均60歳)、男性701名(47.5%)。
目的と方法
オーストラリアの40歳以上の集団における白内障の有病率および危険因子の探索
裸眼視力および矯正視力、人口統計学的詳細、既往歴、酸化防止剤の食事による摂取、生涯紫外線B曝露、水晶体撮影を含む臨床眼科検診。皮質混濁は16分割で測定した。皮質白内障は、瞳孔周囲の16分の4以上の混濁と定義した。核混濁はWilmer白内障グレード表によりグレード化し、白内障は4標準のうち核の標準が2.0以上と定義した。後嚢下混濁はすべて、高さおよび幅を測定して記録した。後嚢下白内障は、後嚢下混濁が1mm2以上と定義した。悪いほうの眼を分析対象とした。個別の白内障の危険因子を定量化するのに変数減少ステップワイズロジスティック回帰を用いた。
結果
皮質白内障の全加重率は、白内障手術を除外した場合は11.3%(95%信頼限界9.68%、13.0%)、手術を含めた場合は12.1%(95%信頼限界10.5%、13.8%)であった。多変量ロジスティック回帰モデルにおいて残った皮質白内障の危険因子は、年齢、女性、5年以上の糖尿病、10年以上の痛風、関節炎、近視、βブロッカー服用者、そして年間平均眼紫外線B曝露の増加であった。全体として、白内障手術既往者を含めた場合、40歳以上のビクトリア住民の12.6%(95%信頼限界9.61%、15.7%)が核白内障であり、白内障手術既往者を除外した場合11.6%(95%信頼限界8.61%、14.7%)が核白内障であった。都市部ならびに郊外のコホートでは、年齢、女性、郊外居住、褐色虹彩、5年以上の糖尿病、近視、加齢性黄斑症、30年以上の喫煙歴、そして眼紫外線B曝露とビタミンEとの相互作用が核白内障の危険因子であった。白内障手術既往者を除外した場合の後嚢下白内障率は4.08%(95%信頼限界3.01%、5.14%)であったのに対し、白内障手術既往者を含む全体の後嚢下白内障率は4.93%(95%信頼限界3.68%、6.17%)であった。都市部および郊外のコホートにおける後嚢下白内障の独立した危険因子は、年齢、郊外在住、チアジド系利尿剤の使用、ビタミンEの摂取および近視であった。