(旧版)EBMに基づく 胃潰瘍診療ガイドライン 第2版 -H. pylori二次除菌保険適用対応-
文献ID:S0028258
PMID:
11421865
研究デザイン
MA(メタ)
エビデンスレベル
レベルI:システマティックレビュー/メタアナリシス
対象者(疾患/病態)
出血性消化性潰瘍
サンプルサイズ
11研究
セッティング
他国多施設
追跡率
不定
予知因子:介入/要因曝露と対照
治療薬:プロトンポンプ阻害薬(PPI) (omeprazole,lansoprazole,pantoprazole)
比較薬:H2受容体拮抗薬(H2RA) (cimetidine,ranitidine,famotidine)
エンドポイント(アウトカム)
持続性出血あるいは再発性出血,あるいは手術
主な結果と結論
持続性あるいは再発性出血がPPI治療群で6.7%(95%CI: 4.9-8.6%),H2RA治療群で13.4%(95%CI: 10.8-16%)認められた(OR 0.4,95%CI: 0.27-0.59)(同質性試験カイ二乗検定 18,P=0.09).手術は,PPI治療群で5.2%(95%CI: 3.4-6.9%),H2RA治療群で6.9%(95%CI: 4.9-8.9%)認められた(OR 0.7,95%CI: 0.43-1.13).それぞれ死亡率は,1.6%(95%CI: 0.9-2.9%)と2.2%(95%CI: 1.3-3.7%)であった(OR 0.69,95%CI: 0.31-1.57).5試験では,ボーラス注射の効果をみており,6%(95%CI: 3.6-8.3%)と8.1%(95%CI: 5.3-10.9%)であった(OR 0.57,95%CI: 0.31-1.05).高リスク患者(Forrest Ia,IbおよびIIa)ではPPI治療群で13.2%(95%CI: 7.9-8%),H2RA治療群で34.5%(95%CI: 27-42%)で持続性出血あるいは再発性出血が認められた(OR 0.28,95%CI: 0.16-0.48).内視鏡治療を受けなかった群では,それぞれ4.3%(95%CI: 2.7-6.7%)と12%(95%CI: 8.7-15%)であった(OR 0.24,95%CI: 0.13-0.43).内視鏡治療を受けた患者ではその差が縮まり,10.3%(95%CI: 6.7-13.8%)と15.2%(95%CI: 11.1-19.3%)であった(OR 0.59,95%CI: 0.36-0.97).さらに,1つの外れ値の研究を除外すると,有意差は認められなかった.PPIはH2RAよりも効果が高い.この差は,内視鏡治療を受けない場合より大きい.このベネフィットはForrest Ia,IbまたはIIaの患者で同様かまたはより高い.しかしながら,確実な結論を引き出すためにはデータは不十分で,さらなる比較研究が必要である.
効果指標値(95%信頼区間)
PPI治療群はH2RA治療群に対して持続性出血あるいは再発性出血に関してオッズ比 0.4(95%CI: 0.27-0.59)
統計学的解析法:Peto法
コメント
出血性潰瘍に対しては内視鏡治療を行うが,プロトンポンプ阻害薬も用いるべき.