メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版
8.エビデンスの収集
2015~2017年度AMED研究班がメニエール病診療ガイドラインのSCOPE(ガイドライン作成の計画書)を作成し,PICO(P:patients, problem, population;I:intervention;C:comparisons, controls, comparator;O:outcomes)を用いてCQを設定した。
CQ: | メニエール病に抗めまい薬は有効か? | ||||||
CQ: | メニエール病に利尿薬は有効か? | ||||||
CQ: | メニエール病に抗ウイルス薬は有効か? | ||||||
CQ: | メニエール病に中耳加圧治療は有効か? | ||||||
CQ: | メニエール病に内リンパ嚢開放術は有効か? | ||||||
CQ: | メニエール病に選択的前庭機能破壊術は有効か? |
2016~2017年度厚労科研研究班が遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインのSCOPEを作成し,PICOを用いてCQを設定した。
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に抗めまい薬は有効か? | ||||||
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に利尿薬は有効か? | ||||||
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に抗ウイルス薬は有効か? | ||||||
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に中耳加圧治療は有効か? | ||||||
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に内リンパ嚢開放術は有効か? | ||||||
CQ: | 遅発性内リンパ水腫に選択的前庭機能破壊術は有効か? |
2015~2017年度AMED研究班が,メニエール病の治療に関する文献検索を行った。2016~2017年度厚労科研研究班が遅発性内リンパ水腫の治療に関する文献検索を行った。
文献検索には,PubMed,Cochrane Library,医学中央雑誌を用いて実施した。PubMedと医学中央雑誌では,疾患のキーワードとCQのキーワードを掛け合わせて検索した。研究デザインや論文形式による絞り込みは行っていない。Cochrane Libraryでは,疾患のキーワードからシステマティックレビューとランダム化比較試験(RCT)を検索した。
メニエール病の治療については,適切なシステマティックレビューやメタアナリシスが得られた場合には,その文献の含まれる論文以降の新規のRCTと合わせてエビデンスとして採択した。システマティックレビューやメタアナリシスが得られなかった場合には,RCTを検索した。RCTも得られない場合には,非RCTや,コホート研究や症例対照研究などの観察研究もエビデンスとして採択した。副作用や合併症に関する研究結果は,エビデンスレベルによらず採択した。
遅発性内リンパ水腫の治療については,Cochrane Libraryを用いて遅発性内リンパ水腫のエビデンスを検索したが,delayed endolymphatic hydropsをキーワードに検索したところ,遅発性内リンパ水腫のエビデンスは認められなかった。また,vertigoをキーワードに検索したところ,24のエビデンスが得られたが,遅発性内リンパ水腫に関するエビデンスは認められなかった。次に,文献データベースであるPubMedを用いてdelayed endolymphatic hydropsをキーワードに検索を行った。その結果,88の文献が検索された。そのうち,遅発性内リンパ水腫の治療に関する文献は9編であった。いずれも保存的治療でめまい発作がコントロールできない遅発性内リンパ水腫症例を対象とした少数例のretrospective studyであり,エビデンスレベルの高い比較試験はなかった。そのため,採択されたエビデンスはなかった。